「年齢のせいか、愛犬が夜中寝てくれなくて困っている」
「どうしたら夜寝てくれるようになるの?」
このように、老犬が夜中起きるのをどうにかしたい!という悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
愛犬が夜中に起きることで、飼い主の睡眠時間が削られ、精神的な負担にもつながってしまいます。
まずは、老犬が夜中起きてしまうのはなぜか、考えられる原因を把握することが大切だワン
そこで本記事では、老犬が夜中起きる場合の原因と対処法について解説します。
- 老犬の標準的な睡眠時間
- 老犬が夜中起きる原因
- 老犬が夜中起きる場合の対処法
- 夜中にウロウロする場合の認知症の可能性
- 老犬が夜中起きる場合の投薬について
老犬の標準的な睡眠時間は?
そもそも老犬の標準的な睡眠時間をご存じでしょうか?
一般的に、老犬になると1日の睡眠時間は長くなる傾向にあります。
子犬・成犬・老犬、それぞれの1日の平均睡眠時間は以下のとおりです。
- 子犬:18〜19時間程度
- 成犬:12~15時間程度
- 老犬:18〜19時間程度
このように、老犬の睡眠時間が成犬に比べて長いのは、老化による体力の衰えなどが要因として挙げられます。
年齢を重ねるにつれて疲れやすくなったり、疲労回復に時間がかかったりするのは人間と同様に自然なことなのです。
しかし、睡眠時間が増えるといわれる老犬でも、「夜は寝てくれない」というケースが多く見受けられます。
では、老犬が夜中起きる原因として、どのようなことが考えられるのでしょうか。
老犬が夜中起きるのはなぜ?考えられる原因
老犬が夜中起きるのはなぜか、考えられる原因は以下のとおりです。
- 日中の睡眠時間が長すぎる
- 空腹や喉の渇き
- トイレに行きたい
- 睡眠環境に問題がある
- 不安を感じている
- 体に痛みやかゆみがある
具体的にどういうことか、1つずつ解説します。
日中の睡眠時間が長すぎる
老犬が夜中起きる原因として、日中の睡眠時間が長すぎることが考えられます。
上記でもお伝えしたとおり、老犬の睡眠時間は成犬に比べて長いのが特徴です。
体力や感覚機能の衰えなどから、物事への関心が薄れて無気力に見えることもあるでしょう。
「気持ちよさそうに寝ているから」「おもちゃで遊んでくれないから」と日中に寝かせたままでいると、昼夜逆転になって夜中起きることが増えてしまいます。
活動量が減ると筋力低下やストレスにもつながるので、昼寝のしすぎには注意が必要です。
空腹や喉の渇き
老犬が夜中起きる原因として、空腹や喉の渇きが考えられます。
夜ごはんの時間が早すぎたり、フードの摂取量が適切でなかったりすると、空腹で夜中や朝方に目覚めてしまうケースがあります。
また、給水ボトルの中身が空になっていたり、水飲み場がそばになかったりして、自由に水分補給できない状況も夜中に起きてしまう要因です。
トイレに行きたい
老犬が夜中起きる原因として、トイレに行きたい、もしくは粗相をして不快に感じていることなどが挙げられます。
自力で立ち上がれない場合や視覚が衰えている場合、ひとりでトイレへ行けずに吠えて訴えることがあります。
また、筋力の衰えなどから、トイレの場所までたどり着けずに粗相をしてしまうケースもあるでしょう。
手足やベッドが汚れているのを不快に感じ、寝られなくなっている可能性もあります。
睡眠環境に問題がある
老犬が夜中起きる原因として、睡眠環境の問題が考えられます。
たとえば寝床の位置が玄関や窓際にあってうるさかったり、エアコンの風が直接あたって寒かったりと、落ち着いて眠れるような環境でないケースです。
ほかにも、寝床が気に入らない、ベッドが硬いなどで寝つきが悪くなっている可能性もあります。
不安を感じている
老犬が夜中起きる原因として、不安を感じていることが考えられます。
年齢とともに体力や感覚機能が衰えるため、恐怖や不安を感じやすくなる傾向にあります。
とくに夜の暗い時間帯は、視覚や聴覚が衰える老犬にとって不安を感じやすいでしょう。
また、恐怖や不安で眠れないだけでなく、「飼い主さんのそばにいたい」という甘えから夜泣きをするケースもあります。
体に痛みやかゆみがある
老犬が夜中起きる原因として、体の痛みやかゆみが考えられます。
たとえば関節炎や皮膚炎など、何らかの病気によって痛みやかゆみの症状が現れているケースです
老犬になると痛みやかゆみを上手に表現できないため、病気の発見が遅れてしまうことも珍しくありません。
何か気になることがあれば、早めに動物病院で診てもらいましょう
老犬が夜中起きるときの6つの対処法
老犬が夜中起きるときの対処法としては、以下のようなことが挙げられます。
- 生活リズムを整える
- フードや水の量を調整する
- トイレ環境を見直す
- 睡眠環境を見直す
- スキンシップをとる
- 寝床を見直す
愛犬の様子や体調をよく観察したうえで、適切に対処することが大切です。
それでは、1つずつ解説します。
生活リズムを整える
日中の睡眠時間が多い場合は昼夜逆転生活になっている可能性があるため、生活リズムを整えるようにしましょう。
自力で立ち上がったり歩いたりできるのであれば、日中は無理のない範囲で散歩へ連れ出すと良いです。
活動量が増えることで筋力を維持できるほか、気分転換やストレス発散にもつながります。
自力で歩くのが難しい場合はペットカートなどを活用して、外の風を感じさせたり、太陽の光を浴びさせたりするだけでも良い刺激になるでしょう。
散歩以外にも、家の中で知育おもちゃを使って遊ばせたり、おやつを探すゲームをしたりして、日中はなるべく起こすようにすることがポイントです。
日中の活動量を徐々に増やして生活リズムを整えてあげると、夜寝てくれるようになってくれるでしょう。
フードや水の量を調整する
空腹や喉の渇きによって夜中起きることがあるのであれば、フードや水の量を調整してみましょう。
たとえば今まで1日2回に分けてフードを与えていた場合、まずは全体の摂取量を変えずに3〜4回に分けてみます。
なるべく空腹の時間が長くなりすぎないように、意識すると良いでしょう。
それでもおなかが空くようなら、そもそもフードの量が適切でない可能性があるので、商品パッケージの裏面に記載されている給与量を参考にしてみてください。
また、夜中起きても自由に水分補給できるよう、寝る前に新鮮な水を用意しておいたり、水飲み場をベッドの近くに設置したりすることも大切なポイントです。
トイレ環境を見直す
筋力や視力の衰えなどから、トイレにたどり着く前に粗相をしてしまう場合は、トイレの場所を近くに設置する、もしくはトイレを増やしてあげると良いでしょう。
目印として、トイレの付近にライトをつけて明るくしてみるのも1つの方法です。
また、寝る前になるべく排泄を済ませておくようにしましょう。
自力で立ち上がれなかったり歩けなかったりする場合は、夜間だけでもおむつを使用すると飼い主さんの負担を減らすことができます。
睡眠環境を整える
愛犬が快適に眠れるように、睡眠環境を整えましょう。
シニア犬になると体温を調整する機能が衰えるため、寒すぎたり暑すぎたりしないか、定期的に部屋の温度や湿度をチェックすることが大切です。
- 温度:25度前後
- 湿度:50%前後
高温多湿は老犬にとって大きな負担になるので要注意だワン
エアコンの風やすきま風が直接あたるか、あたらないかも確認しましょう。
また、寝床の位置も大切なポイントです。
玄関や窓際、廊下などの騒がしい場所は、視覚や聴覚が衰える老犬にとってストレスとなります。
もしそうした場所で寝かせている場合は、落ち着ける場所へ移動させると良いでしょう。
スキンシップをとる
愛犬が不安がっていたり、甘えて夜泣きをしたりする場合は、スキンシップをたくさんとって不安を取り除いてあげることが大切です。
心が落ち着くまで、優しく声をかけながらなでてあげてください。
できることなら、安心して眠りにつくまでそばで見守ってあげるのが望ましいです。
とはいえ、飼い主さんの睡眠時間も削られてしまい、心身への負担は大きいでしょう…
そのため、最初から飼い主さんのそばで寝させるのも1つの手段です。
もし別室で寝ているのであれば、同じ部屋で寝てあげることを検討してみてください。
ほかにも、寝る前にマッサージをする、飼い主のにおいがするものをベッドに置くなど、愛犬が安心して眠れるようにさまざまな工夫を凝らしてみましょう。
寝床を見直す
ベッドは快適か、硬くないかなど、寝心地の良さを確認しましょう。
同じ姿勢で長時間寝ていると体の一部分に負荷がかかり、痛みをともなうことがあります。
とくに自力で立ち上がったり、寝返りができなかったりする犬は、床ずれを起こしやすいのが特徴です。
床ずれを防ぐためにも、ベッドにクッションや毛布を重ねてあげたり、体圧分散マットを活用してみたりすると良いでしょう。
また、通気性の悪いベッドを使用すると皮膚炎を起こしてしまう可能性もあるので、通気性が良く洗濯の可能な素材を選ぶことも大切です。
老犬が夜中起きてウロウロする場合は認知症?
さまざまな工夫を凝らしても、老犬が夜寝ないでウロウロする場合は認知症の可能性があります。
認知症のサインとしては、以下のようなものが挙げられます。
- ふらふら歩く
- ぐるぐる回る
- 夜泣きをする
- 甘えん坊になった
- 攻撃的になった
- トイレの失敗が増える
気になる様子があれば、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
徘徊している様子などを動画に撮っておくと、認知症かどうか獣医師も判断しやすいでしょう。
認知症は徐々に進行していく病気なので、早めに治療を開始することが大切だワン
老犬が夜中起きるときの投薬について
「愛犬が寝ないストレスから解放されたい」と、睡眠薬の使用を検討している方もいらっしゃるでしょう。
愛犬が少しでも夜間寝てくれるようになれば、飼い主さんにかかる負担がグッと軽減されますよね
ただし、薬の種類によっては副作用のリスクもあるので、投薬はさまざまな工夫を試してみてから最終手段として考えることをおすすめします。
試行錯誤してみても飼い主さんの生活に支障をきたすのであれば、副作用のリスクを理解したうえで、かかりつけの獣医師と相談しながら投薬のタイミングを決めると良いでしょう。
老犬が夜中起きるときは様子を観察すること!
老犬が夜中起きるのをどうにかしたい!というときは、どのような原因が考えられるのか、愛犬の様子をしっかりと観察することが大切です。
日中の活動量を増やしたり、スキンシップをたくさんとったりして、愛犬が安心して眠れるようにさまざまな工夫を凝らしてみましょう。
それでも改善が見られない場合は、ひとりで抱え込まず、かかりつけの獣医師に相談するようにしてください。