最近、老犬が水をよく飲むようになった…
と感じることはありませんか?
水をたくさん飲むことは血行促進や便秘解消などが期待できることから、水を飲む量が増えても問題はないと気に留めない方が多いでしょう。
もちろん夏場と冬場では水分量の増減はありますが、すべてにおいて「水をよく飲む=健康」とは限りません。
老犬が急に水をよく飲むようになった場合には、何らかのトラブルや病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
そこで本記事では、老犬が水をよく飲むときに考えられる原因とその対策や、1日に必要な水分量などを解説します。
- 老犬の1日に必要な水分量
- 老犬が水をよく飲むときの原因
- 老犬が水をよく飲むときに考えられる病気
- 老犬が水をよく飲むときの対策
- 老犬が水をよく飲むときの注意点
- 反対に老犬が水を飲まないと起こるリスク
老犬の1日に必要な水分量とは?
そもそも老犬の1日に必要な水分量をご存じでしょうか。
どれくらいの量を摂取すると、「水の飲みすぎ」になってしまうのかを把握しておくことが大切です。
老犬にとって1日に必要な水分量は以下のとおり。
体重1kgあたり40〜60ml
例)体重3kgなら120〜180ml・体重5kgなら200〜300mlが目安
一方で、多飲と判断される基準は、「1kgあたり100ml以上」といわれています。
つまり、体重3kgなら300ml以上、体重5kgなら500ml以上の水を摂取している場合は注意が必要だよ。
老犬が水をよく飲むときに考えられる原因
老犬が急に水をよく飲むようになったときは、以下のような原因が考えられます。
- 季節や気温によるもの
- 食事の変化によるもの
- ストレスによるもの
- 内服薬によるもの
1つずつ解説します。
季節や気温によるもの
老犬が水をよく飲む原因の1つ目は、季節や気温によるものです。
夏場や気温の高い日は、冬場や気温の低い日に比べ、必然的に水を飲む量が増える傾向にあります。
通常、犬は体温を下げるために「パンディング」と呼ばれる呼吸法(舌を出してハァハァする)をおこない唾液を蒸発させています。
パンティングを続けると体内の水分がどんどん失われ、その結果、一時的に水を飲む量が増えることがあるのです。
食事の変化によるもの
老犬が水をよく飲む原因の2つ目は、食事の変化によるものです。
たとえば、約70%もの水分を含むウェットフードを日常的に与えていたところ、約10%ほどしか水分が含まれていないドライフードに切り替えると、「以前よりも水を飲む量が増えた」と感じることがあります。
ドライフードに切り替えただけで、特に健康状態に異常が見られない場合は大きな心配はいらないでしょう。
また、トッピングやおやつとして塩分の高い食材を与えると、喉が渇いて飲水量がアップします。
塩分の過剰摂取は心臓や腎臓に負担がかかるため、塩分を控えた食事にすることが大切です。
ストレスによるもの
老犬が水をよく飲む原因の3つ目は、ストレスによるものです。
引っ越しや長時間の留守番、運動不足、コミュニケーション不足など、何らかの出来事にストレスを感じて飲水量が増えることがあります。
特に老犬は体力や感覚器の衰えから、ささいなことでストレスを感じやすい傾向にあるので、日ごろから愛犬の様子を観察することが大切です。
内服薬によるもの
老犬が水をよく飲む原因の4つ目は、内服薬によるものです。
皮膚疾患の治療に使われることが多いステロイド剤には、副作用によって多飲多尿をともなうことがあります。
ほかの病気でも、同じような副作用が起こるお薬をいただいている可能性もあるので、一度かかりつけの獣医師に相談してみると良いでしょう。
老犬が水をよく飲むときに考えられる病気
水分の摂取量が増えれば、当然ながら尿の量も増えるよ。
これを「多飲多尿」といいますが、背景に何らかの病気が隠れている可能性もあります。
では、症状の1つとして多飲多尿が現れる可能性のある病気を、例として3つ解説します。
糖尿病
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンは、血液中の糖分を吸収する働きがあります。
糖尿病は、肥満や遺伝的要因などによってインスリンの分泌異常が起こり、血糖値が高くなる病気です。
多飲多尿のほかに、吐き気や脱水、食べても痩せるなどの症状が見られ、さらに進行すると白内障や腎炎などを引き起こすことがあるといわれています。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は、加齢や循環器などほかの病気の影響により、腎臓の働きが悪くなる病気です。
多飲多尿のほかに、食欲低下や吐き気、下痢、貧血などの症状が現れます。
初期段階での発見が難しいため、7歳を超えたら半年に1度は血液検査を心がけることが大切です。
予防としては、塩分を控えたバランスの良い食事が必要といわれています。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は、細菌感染によって子宮内に膿が発生する病気で、避妊手術を受けていない中高齢の犬に多く見られるといわれています。
多飲多尿のほかに、食欲不振や下痢、発熱、腹部膨満などの症状も現れることがあるようです。
老犬が水をよく飲むときの対策5選
老犬が水をよく飲むときの対策は以下のとおりです。
- 1日の飲水量を測る
- 散歩時間や室温を調整する
- 食事を見直す
- 生活環境を見直す
- 動物病院を受診する
それでは具体的にどのようなことをすれば良いのか、1つずつ解説します。
1日の水分量を測る
「最近、水をよく飲むようになった」と感じたら、まずは1日の水分量を測ってみよう。
1日の水分量を測るときは、計量カップを活用すると便利です。
まず、計量カップで水の量を確認してから、器に移します。
次に水を取り換える際、残っている水を再び計量カップに戻します。
器に入れた水分量から残った水分量を差し引けば、実際に愛犬が飲んだ水の量を知ることが可能です。
たとえば200mlの水を器に入れたとします。
飲み残した水が20mlの場合、実際に飲んだ水の量は180mlとなる計算です。
体重によって1日に必要な水分量や多飲と判断される基準は異なるため、愛犬の体重をきちんと測定してからおこなってください。
散歩時間や室温を調整する
気温の高い時間帯に散歩をしたり、部屋の温度が暑かったりすると、パンティングによって喉が渇くだけでなく、脱水や熱中症を引き起こす原因になります。
特に老犬は体温調節の機能や体力が衰えているので、熱中症のリスクが高まります。
愛犬の命を守るためにも、散歩をおこなう時間や部屋の温度を調整してあげることが大切です。
たとえば気温が30度を超える日は散歩や屋外での運動を避け、早朝や夕方の涼しい時間帯におこなうようにしましょう。
また、老犬にとっての快適な温度は25度前後、湿度は50%前後です。
高温多湿の環境は老犬の心身に負担がかかるので、部屋の温度や湿度をこまめにチェックしよう!
食事を見直す
ドッグフードを新しいものに切り替えた場合や、日常的にトッピングやおやつを与えている場合は、食事の見直しが必要です。
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」によると、犬の1日の塩分摂取量は、体重5kgの場合で0.18gが目安となっています。
食事を手作りされている方も、塩分を過剰に与えていないか今一度確認してみてください。
塩分の高い食材として、以下のようなものが挙げられます。
食材 | 10gあたりの食塩量 |
---|---|
食パン | 0.13g |
プロセスチーズ | 0.28g |
かつお節 | 0.24g |
しらす干し | 0.54g |
塩シャケ | 0.18g |
特に人間用に加工された食材は塩分を多く含むため、キッチンやダイニングなどで誤食がないように注意しなければなりません。
トッピングを加える際や食事を手作りする際には、味付けのされていない食材を選ぶことも大切だよ!
やむを得ず与える場合には、沸騰前の90度以下のお湯で茹でて、塩分を抜いてから与えるようにしましょう。
また、念のためにドッグフードや犬用おやつに含まれる食塩相当量もチェックすると良いです。
生活環境を見直す
ストレスによって多飲を引き起こしている場合は、生活環境を見直してみましょう。
ただでさえ老犬は、感覚器や体力の衰えなどから、不安や恐怖を感じやすい傾向にあります。
長時間の留守番や運動不足、コミュニケーション不足など、どんなことがストレスの引き金になっているのかを汲み取り、できる限り愛犬がリラックスできる環境を作ってあげることが大切です。
たとえば留守番の時間を短めにしたり、どうしても長時間の留守番になるときは家族や友人にお世話をお願いしたりして、なるべく1人ぼっちになる時間を短くしてあげると心身への負担は少ないでしょう。
また、足腰が弱ってなかなか散歩ができない子は、ハーネスやペットカートなどを活用して外へ連れ出すだけでも、良い刺激になりストレス解消になります。
同じコースばかりでなく、いつもと違うコースに行ってみるのも脳の活性化が期待できておすすめですよ。
動物病院を受診する
水を飲む量は、当然のことながら季節や気温、運動量、食事などによって増減します。
しかし、1日の水分量をきちんと測り、多飲の症状が3日以上続く場合は早めに動物病院を受診するようにしましょう。
血液検査や尿検査をおこない、多飲の原因を調べてもらうことをおすすめします。
念のために、日ごろからどれくらいの水分を摂取しているのかメモしておくと、いざというときに診察をスムーズに進められることでしょう。
老犬が水をよく飲むときに注意すべきこと
以下では老犬が水をよく飲むときに飼い主さんが注意すべき点を解説します。
飲水量の制限
愛犬の飲水量が1日に必要な水分量の範囲をオーバーしている場合、「水の量を減らしたほうが良いのでは」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、単純に飲水量を制限すれば良いというわけではありません。
万が一、多飲多尿の原因が何らかの病気である場合、無理に飲水量を減らすと脱水症状を引き起こす恐れがあります。
水中毒
水を短い期間で大量に摂取することで、「水中毒」を起こすケースもあります。
水中毒とは、水の大量摂取によって尿を処理する機能が低下し、体内のミネラルバランスが崩れてしまう病態です。
もちろん水自体に毒性があるわけではないので、普段の生活で水を多めに飲んでいたからといって起こる可能性は低いといえます。
主に、プールや川などで水遊びをしている最中に中毒を起こす危険性があるようです。
症状としては、ふらつきや大量のよだれ、腹部膨満、嘔吐、意識障害などの症状が現れます。
反対に老犬が水を飲まないとどうなるの?
ここまで老犬が水をよく飲むときの原因や対策について解説しましたが、反対に老犬になると水を飲む量が減ることもあります。
運動量減少による筋力低下や関節の痛み、そして加齢によって喉の渇きに鈍感になることなどが主な原因です。
では、老犬が水を飲まないとどうなるのでしょうか。
以下では老犬が水を飲まないことで起こり得るリスクを解説します。
脱水状態に陥る
水分を十分に摂取できていないと、脱水状態に陥る恐れがあります。
夏のような暑い時期に起こるものと思いがちですが、脱水は暖房も効いた室内でも起こり得るものです。
脱水症状を起こすと以下のようなサインが見られます。
- 皮膚に弾力がなくなる
- 食欲が低下する
- 元気がない
- 嘔吐や下痢をする
- 口の中が渇いている
- 尿の色が濃い
いつもと様子が違うと思ったら、早めに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
便秘になる
犬も人間と同様で、水分の摂取量が少ないと便秘になることがあります。
腸にうんちがたまっていくと、どんどんうんちが硬くなり、排便時に痛みをともなったり、血便が出たりすることもあります。
特に老犬は筋力が低下してうんちを出す力も衰えるため、便秘にならないように日ごろからきちんと水分を摂取することが大切です。
一般的に丸2日以上うんちが出ない状況が続く場合は、便秘である可能性があるよ!
病気のリスクが高まる
水分が不足すると、以下のような病気のリスクが高まります。
- 尿石症
- 細菌性膀胱炎
- 腎臓病
- 歯周病
- ドライアイ
「最近、水を飲む量が減っている」と感じたら、愛犬の様子をしっかりと観察することが大切です。
なかなか水分を摂取してくれない場合は、野菜や果物から水分を摂取したり、ドライフードからウェットフードに切り替えたりして1日の水分量を増やすように心がけましょう。
老犬が水をよく飲むときに便利なアイテム3選
ここからは、老犬が水をよく飲むときに便利な、目盛付きアイテムを3つご紹介します。
1日の水分量を簡単にチェックできるので、愛犬の好みや生活環境に合わせて取り入れてみてください!
ウォーターディッシュ/リッチェル
リッチェルのウォーターディッシュは、ケージやサークルに固定するタイプの自動給水器です。
愛犬の体の高さに合わせて設置できるため、首や腰への負担も軽減することができます。
なんといっても、飲んだ量を把握できる目盛付きのボトルが大きな魅力!
給水した量を確認できる茶色と、残量を確認できるピンク色の2色の目盛が付いており、わざわざ計量カップに移して計算しなくても飲水量が一目瞭然です。
また、受け皿の飲み口が広いタイプになっているので、飲みやすく、ノズル式で水を飲むことが苦手なワンちゃんにも向いています。
- 飲んだ分だけ自動補給
- 2色の目盛付き
- お皿の取り外し可能
- サイズ展開はS・M
犬用 脚付ウォーターボウル/猫壱(necoichi)
猫壱(necoichi)の犬用 脚付ウォーターボウルは、飲水量の目安がひと目でわかる目盛付きの食器です。
50ml間隔に目盛が付いており、最大300mlまで水を入れることができます。
また、なんといっても犬の足跡や骨のマークなどのデザインがキュートで、かつインテリアの邪魔にならないのは嬉しいポイント。
さらに底には滑り止めのシリコンが付いているので、倒れたり滑ったりすることがないのも安心です!
デザイン性を重視している方は、ぜひ試してみてください。
- 陶器製ウォーターボウル
- 滑り止めシリコン付き
- 最大300ml目盛付き
- 電子レンジ・食洗OK
- サイズはレギュラーとハイタイプの2種類
自動給水器/WOPET
WOPETの自動給水器は、2WAY給水モードが備わっているペット用給水器です。
1つは噴水モードで、花の噴水口から水が流れ落ちる仕様。
2つ目は湧泉モードで、噴水部分を取り外すことで優しい水が流れる仕様になっています。
3種類のフィルターにより毛髪や塩素、重金属を除去してくれるため、なかなか水を交換できなくても新鮮な水を与えることが可能です。
また、電源が止まっても最大80mlのお水をトレイにためることが可能なので、万が一留守番中に停電しても安心ですね。
さらにタンクの外側には目盛が付いており、飲水量の目安も把握できます。
- 2WAY給水モード
- 各パーツの取り外しが可能
- タンク容量2l・トレイ容量80ml
- 超静音ポンプ採用
- カラーはグレーとホワイトの2色
老犬が水をよく飲むと感じたら1日の水分量をチェック!
犬が水をよく飲むときは、何らかの病気が隠れている可能性があります。
もちろん、季節や気温、運動量、食事などによって水を飲む量は増減します。
「最近、老犬が水をよく飲む」と感じたら、まずは1日の水分量をチェックしてみましょう。
体重1kgあたり100ml以上の水を飲む場合は「多飲」といわれています。
目盛付きの水入れ器を使用すると、飲水量を簡単に測定できるためおすすめです。
なお、水をよく飲む以外にも、おしっこの量が多かったり、元気がなかったりと異常がみられる場合は迷わず動物病院を受診するようにしてください。