- 老犬になったら寝ている時間が増えた
- 最近、歩くスピードが遅くなってきた
このように感じている方も多いのではないでしょうか。
老犬になって懸念されることの1つは、筋力が衰えること。
犬は「後ろ足から衰える」といわれており、筋力が極端に低下すると日常生活に支障をきたす恐れがあります。
後ろ足のトレーニングを中心に、筋肉を使う機会を増やすことで、老犬の健康寿命を延ばすことが可能です。
そこで本記事では、老犬の後ろ足を鍛えるためのトレーニング方法と注意点をご紹介します。
後ろ足から先に衰える原因や、後ろ足が衰えることで生じる問題もあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
- 老犬の後ろ足が先に衰える原因
- 老犬の後ろ足が衰えることで生じる問題
- 老犬の後ろ足の衰えを防ぐ方法
- 老犬の後ろ足を鍛えるトレーニング法
- 老犬の後ろ足トレーニングで注意すべきこと
老犬は後ろ足から先に衰える?その原因は?
犬も人間と同様に、老化によって体のあらゆるところが徐々に衰えていきます。
その中でも、足に関しては「後ろ足から先に衰える」といわれているのはご存じでしょうか。
なぜ前足よりも後ろ足が衰えるのかというと、
日常生活で意識的に後ろ足を動かすことが少ない
と考えられているためです。
というのも完全四足歩行の犬は、歩き出すときやおもちゃで遊ぶときなど、多くの場面で前足を使います。
また、前足と後ろ足とでは体重を支える割合も異なり、前足で6〜7割、後ろ足で3〜4割といわれています。
つまり、前足は日ごろから意識的に使っているのに対し、後ろ足は意識して動かす場面が少なく筋力が衰えやすい傾向にあるというわけです。
老犬の健康寿命を延ばすためには、後ろ足を意識的に使うことが大きなポイントだよ!
老犬の後ろ足が衰えることで生じる問題とは?
では、老犬の後ろ足が衰えることで、どのような問題が生じるのでしょうか。
代表的な例として以下の3つが挙げられます。
- 歩行中にふらつく
- 排便のときに踏ん張れなくなる
- 自力で起き上がることが難しくなる
1つずつ解説します。
歩行中にふらつく
老犬の後ろ足が衰えると、歩行中にふらついてしまう可能性があります。
転倒によってケガをしてしまう恐れもあるため注意が必要です。
犬は体重の約3〜4割を後ろ足で支えていますが、後ろ足の筋力が衰えると、当然ながら体重を支えることは難しくなります。
前足で支えようとすればするほど前傾姿勢になるので、バランスを崩してふらついたり転倒したりすることが多くなるのです。
排便のときに踏ん張れなくなる
老犬の後ろ足が衰えると、排便のときに踏ん張れなくなることがあります。
排便の姿勢を保つためには、後ろ足でしっかりと踏ん張れる力が必要!
しかし、筋力低下によって排便の姿勢を保つことが難しくなると、うまく排便できなくなってしまいます。
そのまま放っておくと、便秘になったり、最悪は浣腸や開腹手術が必要になったりするケースもあるので要注意。
自力でうんちを出せない場合、飼い主さんによるサポートが必要になってきます。
自力で起き上がることが難しくなる
老犬の後ろ足が衰えると、自力で起き上がることが難しくなります。
起き上がろうとしても後ろ足に力が入らないため、起き上がるときにふらついてしまうことが多いです。
自力で起き上がれないと食事や排泄などに支障が出るので、長時間の留守番も困難になるでしょう。
状態が悪化すると、寝たきり状態になり介護が必要になるケースもあります。
老犬の後ろ足の衰えを防ぐ3つの方法
老犬の後ろ足が衰えると、日常生活でさまざまな支障が出てきます。
できることなら、老犬になっても長く健康でいてほしいですよね。
後ろ足の衰えを防ぐために飼い主ができることとして、以下の3つの方法が挙げられます。
- 適度な運動をさせる
- 関節ケアに役立つ栄養素を取る
- 体重管理をおこなう
それでは詳しく解説するので、1つずつ見ていきましょう。
適度な運動をさせる
老犬の筋力低下を防ぐには、運動が有効です。
犬は後ろ足を意識的に使っていないことが多いため、運動を怠るとどんどん足腰が衰えていきます。
また、老犬になると疲れやすくなったり、寝ている時間が増えたりして、どうしても運動量が減ってしまうことがあるかもしれません。
とはいえ、「歳だから仕方ない」と放っておくのではなく、老犬になってもできるだけ毎日散歩へ連れて行くようにしましょう。
砂浜や土の上など歩きにくい場所を散歩させることで、後ろ足の強化につながります。
愛犬の状態や体調に合わせて、無理のない範囲で散歩コースを選んでみてください。
できることなら、若いころから運動を習慣化させておくことが望ましいよ!
関節ケアに役立つ栄養素を取る
老犬になったら、軟骨の構成要素であるグルコサミンやコンドロイチン、コラーゲンなどを積極的に取ることをおすすめします。
これらの成分は犬の体内で合成される栄養素ではありますが、加齢とともに量が減少する傾向にあるため、食事やサプリメントなどから補ってあげると良いです。
また、筋肉を維持するために良質なタンパク質もしっかりと取ることがポイント。
肉類や魚類、乳製品、卵などの良質なタンパク質を含むドッグフードを選んであげるようにしましょう。
健康な関節であることが老化防止のカギになるので、運動と同時に関節ケアもおこなうことが大切です。
我が家で愛用しているドッグフードは「ナウフレッシュ(シニア用)」です。
良質なターキー(七面鳥)が主原料で、グルコサミンやコンドロイチンも含まれています。
以下の記事では原材料を徹底解説しているので、気になる方は参考にしてみてください!
体重管理をおこなう
犬は年齢とともに新陳代謝が低下する傾向にあるため、肥満のリスクが高まります。
体重が増加すると足腰に負担がかかり、関節を痛めてしまう恐れがあるので注意が必要です。
さらに、関節の痛みによって運動量が減り、ますます足腰が衰えてしまう可能性もあります。
関節に大きな負担をかけないためにも、日ごろから愛犬の体重管理をおこなうことが大切だよ!
犬は自分で食事をコントロールできないので、食事を5%程度減らし、同時におやつの量も調整してあげると良いでしょう。
空腹で鳴いてしまう場合には、1食分の量を減らして、代わりに食事の回数を増やすのも1つの手段です。
「太り過ぎかな?」と気になることがあれば、1度かかりつけの獣医師に相談してみることをおすすめします。
老犬の後ろ足を鍛えるトレーニング方法
ここからは、老犬の後ろ足を鍛えるためのトレーニング方法を5つご紹介します。
いずれも簡単にできるものなので、愛犬の体調や状態に合わせて、無理のない範囲からはじめてみてください。
足場の悪い場所を歩かせる
老犬の後ろ足を鍛えるには、足場の悪い場所をあえて歩かせてみると良いでしょう。
特におすすめの散歩コースは、砂浜!
ドライブがてらに海へ行ってきました!
砂浜は体重で足が沈み、アスファルトなどの平たんな道に比べて歩きづらいのが特徴です。
肉球でぎゅっと地面を捉え、バランスを取りながら歩く必要があるため、効率よく足腰を鍛えられます。
砂浜が自宅の近くにない場合は、砂利道や芝生、土の上でもOKだよ!
普段アスファルトなどの平たんな道を散歩している場合は、いつもと違った道を歩かせることで後ろ足への筋肉にはもちろん、脳への良い刺激にもなります。
また、室内であればクッションや座布団などを敷き、その上を歩かせても良いです。
その際は、なるべく凸凹と不安定な道になるように作ってあげると、バランス感覚も養われます。
ゆるやかな坂道を歩かせる
老犬の後ろ足を鍛えるには、ゆるやかな坂道を歩かせるのもおすすめです。
公園にある階段横の芝生を歩かせてみました!
坂道では、上り下りを3〜5回ほど繰り返してあげると良いでしょう。
上るときは後ろ足、下りるときには前足に負荷がかかるため、両足を鍛えられる一石二鳥のトレーニングです。
ちなみに老犬には、写真のようにゆるやかな坂道を選んであげるのがベター。
急な坂道や距離の長い坂道は関節に負担がかかりすぎるので、避けるようにしましょう。
また、芝生や土でできた坂道を選んであげることで、関節への負担も軽減できます。
適度に高さがあるものをまたがせる
細長く丸めたタオルや服、傘、ポールなど適度に高さがあるものを床に置き、その上をまたがせるのもおすすめの後ろ足トレーニング方法です。
屋外であれば、公園などにある樹木の根っこ周りを歩かせるのでもOK。
またぐ際に足を1本ずつ大きく上げる必要があるため、後ろ足の強化につながります。
慣れるまではジャンプをしないように、おやつを使ってゆっくりと誘導してあげましょう。
「座る」「立つ」でスクワットをさせる
老犬の後ろ足を鍛えるために、「座る」と「立つ」を繰り返しおこなうのもおすすめです。
スクワット効果が期待でき、後ろ足のトレーニングにつながります。
愛犬のペースに合わせて、スクワットを2〜5回ほどおこなうと良いです。
掛け声でお座りができない場合は、おやつやフードを使って誘導してあげましょう。
「お手」の状態をキープさせる
後ろ足のトレーニングとして、「お手」の状態をキープさせるという方法もあります。
ポイントは、立った状態でおこなうこと!
これにより、「お手」をしている前足とは逆側の後ろ足が鍛えられます。
最初は5秒程度を目安におこない、慣れてきたら10秒程度までキープできると良いでしょう。
右足のトレーニングを終えたら、左足も同様におこないます。
老犬の後ろ足トレーニングで注意すべき3つのポイント
老犬に後ろ足トレーニングをさせる際、注意しておきたいポイントがあります。
注意すべきポイントは、以下の3つです。
- 運動の前にストレッチをおこなう
- 無理のない範囲でおこなう
- 関節に痛みがある場合は病院を受診する
それでは1つずつ解説します。
運動の前にストレッチをおこなう
年齢とともに寝ている時間が増えたり、運動量が減ったりすることで、関節が固まってしまうことがあります。
いきなり運動をさせると痛みが生じる可能性もあるため、運動の前に股関節のストレッチをおこなっておくと安心です。
まずは片足の膝あたりを持ち、ゆっくりと曲げ伸ばしします。
このとき、足先が外側を向かないように注意しながら、真っすぐ伸ばすことがポイント。
股関節のストレッチは各足5回ずつおこなうと良いです。
ストレッチを終えたら、足裏の肉球部分もほぐします。
指の腹を使い、下から上へ、肉球の間も忘れずに優しくほぐしてあげましょう。
無理のない範囲でおこなう
老犬に運動をさせる際は、無理のない範囲でおこなうことが大切です。
ハードなトレーニングをさせると、転倒やケガのリスクを高めてしまいます。
疲れた様子が見られたら休憩を挟むなどして、愛犬のペースに合わせたトレーニングをするようにしましょう。
できるだけ自分自身で歩いてもらうことが重要ですが、行きは歩いて、帰りはカートを使うのも1つの手段。
疲れて歩きたがらない愛犬に対し、無理に歩かせると散歩自体を嫌いになってしまう可能性があります。
もちろん、愛犬の食欲や元気がない時の運動は禁物ですよ。
また、愛犬が肥満の場合、運動をおこなうことで心臓や関節に負担がかかる恐れもあるため、1度かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
関節に痛みがある場合は病院を受診する
老犬になると、関節の炎症や病気などにより、痛みをともなうことがあります。
たとえば椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼、股関節形成不全などが代表的な関節疾患です。
関節に痛みがあるときは、以下のようなサインがみられます。
- 散歩を嫌がる
- 歩き方がいつもと違う
- 足を浮かせている
- 足を触ると痛がる
- 痛みで震えている
- 階段や段差を避ける
少しでも愛犬の様子がおかしいと感じたら、まずは動物病院を受診するようにしてください。
老犬も運動は大切!できる範囲で後ろ足をトレーニングしよう
老犬の寝ている時間が増えても、「歳だから仕方ない」と放っておくと、みるみる筋力が低下していきます。
足腰の筋肉が衰えれば、自力で起き上がることや排便の姿勢を維持することが難しくなり、いずれは飼い主さんのサポートが必要になってくるでしょう。
できるだけ長く元気に過ごしてもらうためにも、適度な運動を心がけることが大切です。
犬は「後ろ足から先に衰える」といわれているので、後ろ足を意識して使うようなトレーニングをおこなうと良いでしょう。
本記事を参考に、できる範囲で後ろ足トレーニングを取り入れてみてくださいね!