「シニア犬がおやつしか食べない…」
「おやつだけだと愛犬の体調が心配」
「どうしたらドッグフードを食べてくれるの?」
本記事では、このようなお悩みを解決します。
- シニア犬の食べムラの原因
- 食べムラを防ぐ方法
- シニア犬に必要な栄養素
- ドッグフードを切り替える際のポイント
- フードを手作りする際のポイント
若いころに比べてどんどん衰えていくシニア犬。
ドッグフードをほとんど食べずにおやつがメインだと、愛犬の体調が心配ですよね。
食べムラを防いで、愛犬がいつまでも元気に過ごせるような食生活を目指しましょう。
シニア犬がおやつしか食べない!食べムラの原因は?
シニア犬がおやつしか食べないときや食べムラがあるときは、以下のような原因が考えられます。
- 老化による食欲低下
- フードが硬くて食べられない
- フードの味に満足していない
- 体の不調による食欲不振
1つずつ解説していきます。
老化による食欲低下
シニア犬になると、嗅覚や味覚が衰えて食欲が低下しやすい傾向にあります。
中には嗜好が変わってしまう犬も多く、においや味の薄いフードには食いつきが悪くなるケースもあるでしょう。
とはいえ、ドッグフードを食べてくれないからといって、おやつばかり与えているとカロリー過多になってしまいます。
年齢とともに新陳代謝が低下するシニア犬は、カロリーを多く摂取することで肥満のリスクを高めてしまうので要注意。
また、運動不足などが原因でおなかが空いていない可能性もあります。
運動量を増やすことは食欲増進につながるため、普段の運動量が少ない場合は無理のない範囲で散歩に連れて行ってあげることが大切です。
フードが硬くて食べられない
シニア犬の歯が抜けていたり、噛む力が弱まっていたりすると、硬めのドライフードを食べなくなる場合があります。
弱い力でも食べられるように、ウェットフードを与えるなど工夫してみると良いでしょう。
ただし、やわらかくしても食べない場合は口内炎や歯周病などの口内トラブルが考えられます。
まずは、歯がグラグラしていないか、炎症が起きていないか、口の中を確認してみましょう。
炎症を放置しておくと、最終的には流動食しか食べられなくなる可能性もあります。
歯の健康を維持するためにも、日ごろからデンタルケアをおこなうことが大切です。
フードの味に満足していない
シニア犬がおやつしか食べないのは、単により好みをしているだけかもしれません。
もともと食べムラのあった犬は、年齢とともに食へのこだわりが強くなるケースがあります。
毎日のように食べムラが続くのであれば、違う種類のドッグフードに切り替えてみると良いでしょう。
ただし、ドッグフードを頻繁に変えてしまうと、「我慢すればもっとおいしいものが食べられる」と学習し、食べムラがひどくなる可能性もあるので要注意。
体の不調による食欲不振
シニア犬がおやつしか食べない原因として、病気や体の不調が隠れていることも考えられます。
食欲不振にくわえて、以下のような症状がある場合には注意が必要です。
- 食欲のない日が2日続く
- 嘔吐をくり返す
- 目が赤い、痛がっている
- 発熱やけいれんが起きている
- 尿が丸1日出ていない
- 呼吸が荒い
上記以外にも、少しでも「おかしいな」と思うことがあったら、早めに動物病院で診てもらうようにしてください。
シニア犬がおやつしか食べない!食べムラを防ぐ5つの方法
シニア犬がおやつしか食べない場合、少しずつでもフードを食べてもらえるような工夫が必要です。
食べムラを防ぐ方法として、以下のようなものが挙げられます。
- おやつの回数を減らす
- 知育おもちゃを使ってみる
- フードを切り替える
- フードの香りを強める
- 手作りフードにする
健康チェックをして問題がなければ、ぜひ試してみてください。
おやつの回数を減らす
シニア犬の食べムラを防ぐ方法として、まずはおやつの回数を減らしてみましょう。
おやつを欲しがるからといって、愛犬の思うがままにおやつを与えてはなりません。
しっかりとフードを食べて栄養を摂取してもらうためにも、おやつは少量にとどめておくことが大切です。
はじめは何回もおやつを要求してきたり、与えたフードを無視したりするかもしれませんが、ここは心を鬼にする必要があります。
何度かおやつを我慢させることで、「おやつはもらえないんだな」と学習させることがポイントです。
おなかが空けば、次第にフードを食べてくれるようになるでしょう。
知育おもちゃを使ってみる
シニア犬の食べムラを防ぐ方法として、知育おもちゃを使ってみる方法もあります。
知育おもちゃとは、コロコロと転がしながらフードを出して食べるおもちゃのことです。
知育おもちゃは頭を使うので、夢中になってフードを食べてくれる可能性があります。
ただし、知育おもちゃと一口にいってもさまざまな種類があり、あまりにも簡単なものだとすぐに飽きてしまうかもしれません。
フードを切り替える
シニア犬の食べムラを防ぐ方法として、フードを切り替えるのは非常に有効です。
特に、いつも食べているフードとは異なるにおいや味付けのものを与えると、食べてくれる傾向にあります。
噛む力が弱っているシニア犬の場合は、ドライフードからウェットフードに切り替えると良いでしょう。
フードを切り替える際は、最初から新しいフードを100%与えるのではなく、少量ずつ与えるようにしてください。
下痢や嘔吐など変わったことがないかを確認し、1〜2週間くらいかけて徐々に新しいフードの割合を大きくしていくと安心です。
また、新しいフードを与えてもすぐに飽きてしまうからといって、コロコロと新しいフードを与えてはなりません。
フードの香りを強める
犬も人間と同様、いつもと同じフードではすぐに飽きてしまいます。
どうしてもフードを食べてくれないときは、お湯を加えたり電子レンジで温めたりしてフードの香りを強めてみましょう。嗅覚が衰えてきたシニア犬には、香りを強めてあげることで食欲増進が期待できます。
また、ゆでたササミやプレーンヨーグルトなどのトッピングを、少量のみ加えてみるのも良いです。
手作りフードにする
ドッグフードを食べてくれないと、栄養を十分に摂取できません。
そこで効果的なのが、フードを手作りすることです。
手作りフードを与えることで、良質なたんぱく質を摂取できるほか、水分の摂取量も増やすことができます。
食感も柔らかくできるので、噛む力が弱いシニア犬や体調が優れないときも食べやすいでしょう。
シニア犬にいつまでも食事を楽しんでもらうために、これを機に手作りフードについて学んでみてはいかがでしょうか。
シニア犬にとって必要な三大栄養素とは?
シニア犬にとって必要な栄養素をご存じでしょうか?
愛犬の健康を維持するためにも、どのような栄養素が必要で、どのような役割があるのかを把握しておくと良いワン。
シニア犬にとって必要な三大栄養素は以下のとおりです。
- タンパク質
- 脂肪
- 炭水化物
フードにトッピングを加える際や、手作りフードを与える際の参考にしてください。
タンパク質
タンパク質とは、体に必要なアミノ酸の供給や、免疫機能を保つために欠かせない栄養素です。
タンパク質が不足すると、体重減少や免疫力の低下、毛がパサつくなど、体のさまざまなところにトラブルがおこりやすくなります。
体力が衰えるシニア犬には、良質なタンパク質を与えることが大切です。
手作りフードを与える際は、牛肉や豚肉、魚、鶏肉、乳製品、卵といった高品質な動物性タンパク質を使用しましょう。
ただし腎臓に問題がある犬は、タンパク質の過剰摂取に注意が必要です。
脂肪
脂肪とは、活動に必要なエネルギー源となり、体温維持や内臓の保護、ビタミンの供給などにも欠かせない栄養素です。
脂肪が不足すると毛がパサついたり、フケの原因になったりと、皮膚炎の原因にもなります。
とはいえ、新陳代謝の衰えたシニア犬が脂肪を摂取しすぎると、肥満や糖尿病のリスクを高めてしまうため要注意。
運動量が少ない場合や肥満の犬には、高脂肪な豚肉やラム肉を避け、低脂肪の鶏肉や牛肉を与えるのがおすすめです。
調理前に余分な脂肪を除くなどして、脂肪量を減らす工夫をしてみると良いでしょう。
炭水化物
炭水化物とは、即効性のエネルギー源となり、体力の維持などに役立つ栄養素です。
炭水化物が不足すると、筋肉量の減少や免疫力の低下につながります。
しかし、犬は雑食傾向の肉食なので、人間のように多くの炭水化物を必要としません。
摂取しすぎると肥満を招く恐れがあるため、フードを手作りする際には低炭水化物を意識すると良いでしょう。
中でも、でんぷん質が多く高血糖を起こしやすいジャガイモやサツマイモ、にんじん、グリンピースなどの食材は避けたほうが安心です。
ドッグフードを切り替える際のポイント
ドッグフードを切り替える際に、押さえておきたいポイントは以下の2つです。
- 時間をかけて切り替える
- 消化しやすいフードを選ぶ
1つずつ解説します。
時間をかけて切り替える
フードを新しいものに切り替える際は、1〜2週間くらいかけて慣らしていきましょう。
いきなり食べ慣れていないフードに切り替えると、消化器官に負担がかかり、体調を崩す可能性があります。
はじめは今食べているフードを90%、新しいフードを10%程度の割合からスタートすると良いです。
続いて2日目は80%:20%の割合、3日目は70%:30%の割合、と少しずつ新しいフードの割合を増やしていきましょう。
このとき、健康チェックは毎日必ずおこなってください。
新しいフードに切り替えることでアレルギーを発症する場合もあるので、皮膚の状態も確認するようにしましょう。
消化しやすいフードを選ぶ
シニア犬になると消化機能が衰えるので、消化不良を起こしやすくなります。
フードを新しいものに切り替える際は、消化しやすいフードを選びましょう。
たとえば消化をサポートしてくれる成分が入っているものを選んだり、脂肪分の少ない鶏肉や魚などが使用されているものを選んだりするのが望ましいです。
ほかにも、グルコサミンやコンドロイチンといった、関節や骨の健康を維持する成分が入っているとなお良いでしょう。
フードを手作りする際のポイント
フードを手作りする際に、押さえておきたいポイントは以下の2つです。
- 危険な食材を把握する
- 塩分や糖分の過剰摂取に注意する
1つずつ解説します。
危険な食材を把握する
フードを手作りする際は、使ってはいけない食材を把握しておく必要があります。
食材によっては下痢や嘔吐などを引き起こす恐れがあるので、調理の際に混ざらないように注意しましょう。
環境省が発表している「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」では、以下の食材を与えてはいけない、注意が必要と呼びかけています。
- ネギ類(タマネギ・ネギ)
- ニラ
- ニンニク
- チョコレート
- キシリトール入りガム
- 鶏の骨
- 生の魚介類(魚・イカ・タコ・エビ・カニ)
- ブドウ(干しブドウ)
- レバー
- ほうれん草
- カフェイン(コーヒー・紅茶・緑茶)
- 生肉
- 香辛料
- 生卵(生の卵白)
- 煮干し・海苔
塩分や糖分の量に注意する
シニア犬に手作りフードを与える際は、塩分や糖分の摂取量に注意が必要です。
塩分の過剰摂取は心臓や腎臓に負担がかかり、糖分の過剰摂取は肥満などのリスクを高めてしまいます。
かつおぶしやしらす干し、塩シャケ、プロセスチーズなども塩分が多いので要注意。
環境省が発表している「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」によると、体重5kgの犬の場合、1日あたり0.18gを塩分摂取量の目安としています。
味付けは基本的におこなわず、素材の味を生かすだけにしましょう。
おやつしか食べない・食べムラがあるときは工夫が必要!
愛犬がいつまでも健康に過ごせるように、おやつはできるだけ与えず、必要な栄養素をバランスよく摂取できるドッグフードを与えることが大切です。
シニア犬がおやつしか食べないなど、食べムラがあるときは、健康に問題がないかをチェックしてみてください。
犬は年齢とともに味覚や嗅覚、噛む力が衰えるため、愛犬の体調に合わせてさまざまな工夫を凝らしてみると良いです。
何か気になる点がある場合は、かかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。