「シニア期を迎えた犬が散歩中によく立ち止まる」
「散歩の帰りになると座り込んで歩いてくれない」
このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
老犬が散歩中に歩かなかったり、立ち止まったりするのは単に疲れているだけでなく、ほかの原因が隠れているかもしれません。
本記事では、老犬が散歩中に歩かない・立ち止まるのはなぜか、その対処法などを解説するワン。
- 老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる原因
- 老犬を散歩しないとどうなるか
- 老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際の対処法
- 老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際に使えるグッズ
- 動物介護士資格保有者
- パピヨン飼育歴約10年
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まるのはなぜ?
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まるのはなぜなのか、飼い主はその原因を把握する必要があります。
考えられる原因は以下のとおりです。
- 老化による筋力低下
- 病気や関節の痛み
- 気候の変化
- 緊張やストレス
- 意欲や好奇心の低下
1つずつ解説します。
老化による筋力低下
「散歩のはじめは喜んで歩いてくれるけれど、時間が経過すると歩いてくれない」という場合は、老化による筋力低下が考えられます。
犬は年齢とともに筋力が低下するため、若いころに比べて疲れやすい傾向にあります。
たとえば散歩時間が長い、歩く速度が速いなど、愛犬のペースに合っていない可能性があるでしょう。
老犬が疲れているサインとしては、
- 歩くのがゆっくりになる
- 座り込む、立ち止まる
- 自宅に戻ろうとする
- 呼吸が早くなる
- その場で寝そべる
などが挙げられます。
散歩中に立ち止まって歩かない場合は、疲れていないか愛犬の様子をチェックしてみてください。
病気や関節の痛み
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる場合、病気や関節の痛みなど、体の不調が原因であるケースもあります。
たとえば心臓や呼吸器の疾患によって疲れやすくなっていたり、椎間板ヘルニアや股関節形成不全などで体に痛みが出ていたりするのかもしれません。
- 呼吸が荒い
- 歩き方に違和感がある
- 足や腰を触ると嫌がる
- 足を上げたり引きずったりしている
このようなサインが見られる場合は早い段階での治療が重要なので、早めにかかりつけの獣医師に相談してみてください。
気候の変化
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる原因として、気候の変化が関わっているケースもあります。
犬は年齢とともに体温を調整する機能が衰えるため、暑い日や寒い日に散歩をすると体調を崩しやすいです。
また、雨で濡れた道路を歩くのが嫌だったり、被毛に雨や泥がついて不快に感じたりすると、散歩の途中でも固まって動かないことがあります。
老犬になったら、天候や気温に応じて、散歩の仕方を変えていく必要があるでしょう。
緊張やストレス
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる原因として、緊張やストレスが考えられます。
老犬になると嗅覚や聴覚、視覚といった感覚機能が衰えていくので、ささいなことでもストレスを感じやすくなります。
車や人通りの多い場所はもちろん、段差の多い散歩コースや、視認性がぐっと下がる夜道などは老犬にとって大きな負担になるでしょう。
若いころは気にならなかったことでも、体の変化によって恐怖やストレスを感じることはよくあります。
愛犬に負担をかけないためにも、不安となる要素を取り除くことが大切です。
意欲や好奇心の低下
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる原因として、意欲や好奇心の低下も考えられます。
たとえば毎日変わり映えのない散歩コースだと、散歩自体に興味がなくなることはよくあります。
また、年齢とともに寝ていることが増え、散歩への関心が薄れている可能性もあるでしょう。
しかし、歩かないからといって散歩をやめてしまうと、肥満や認知症などのリスクを高めてしまいます。
愛犬が「散歩は楽しい」と思えるように、さまざまな工夫を凝らすことが大切です。
老犬が立ち止まるからといって散歩しないとどうなる?
犬がシニア期を迎えて体力や感覚機能などが衰えても、適度な運動は必要です。
散歩中に歩かない・立ち止まるからといってそのまま散歩自体をやめてしまうと、さまざまなデメリットが生じます。
ここでは、老犬を散歩しないとどうなるのか、例を3つ挙げて解説します。
運動不足
老犬を散歩しないことによって生じる1つ目のデメリットは、運動不足です。
運動量が減ると筋力が低下するので、今よりもっと疲れやすくなってしまいます。
また、肥満のリスクが高まり、さまざまな病気を引き起こすことにもつながるでしょう。
健康を維持するためには、できる限り散歩に連れて行くのが望ましいです。
老犬の場合、若いころのように散歩の時間を多く設ける必要はないワン。
愛犬の体調に合わせて、適度に運動させると良いでしょう。
ストレスがたまる
老犬を散歩しないことによって生じる2つ目のデメリットは、ストレスがたまることです。
散歩をせずに家の中で過ごしてばかりいると、どうしてもストレスを感じてしまいます。
ストレスが原因で、「噛む・吠える・暴れる」といった問題行動を起こすことも珍しくありません。
問題行動を防ぐためには、適度に散歩をさせることが必要です。
散歩は単なる運動のためだけでなく、気分転換やストレス解消にもつながります。
たとえ散歩に行きたがらないことがあっても、おやつやフードなどで外へ誘い出すようにしましょう。
老化が早まる
老犬を散歩しないことによって生じる3つ目のデメリットは、老化が早まることです。
運動量が減るとどんどん筋力が低下するため、散歩を毎日おこなっている老犬に比べて足腰が弱くなるのは早いでしょう。
最終的には、寝たきり状態になってしまう可能性もあります。
また、刺激の少ない日常を送っていると、認知症のリスクも高くなるでしょう。
外のにおいを嗅がせたり、音を聞かせたりすることで、脳の活性化が期待できます。
足腰が弱って歩くのがつらい状態であれば、抱っこをして散歩をするだけでも十分です。
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際の対処法
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際の対処法として、以下のようなものが挙げられます。
- 愛犬の様子を見る
- 天候や気温をチェック
- 愛犬のペースに合わせる
- 落ち着ける場所や時間帯を選ぶ
- 散歩コースを変えてみる
原因を取り除けるように、無理のない範囲で対処しましょう。
愛犬の様子を見る
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際は、愛犬の様子を見ることが大切です。
疲れている様子はないか、歩き方に違和感がないかなどを確認し、いつもと様子が違う場合は無理に歩かせる必要はありません。
疲れているサインが見られる場合は、すぐに休憩をとりましょう。
水分補給をおこないながら、愛犬が落ち着ける場所でゆっくりと体を休ませます。
休憩後、自力で歩いて帰れそうなら無理のない範囲で歩かせて、歩くのを嫌がるなら抱っこしてあげても良いでしょう。
もし散歩の途中でつらそうにしていたり、足を気にしながら歩いていたりする場合は病気や痛みを抱えている可能性があります。
天候や気温をチェック
老犬になると体温調整の機能が衰えるため、散歩をさせる前には天候や気温をチェックするようにしましょう。
たとえば真夏の暑い時期は比較的涼しい早朝に散歩をさせたり、逆に冬の寒い時期は昼間の暖かい時間帯に散歩をさせたりして、愛犬の体に負担をかけないように工夫することが大切です。
冬は防寒対策として、洋服を着させるのも1つの手段だワン。
帰宅後は被毛に湿気が残らないように、吸水性のあるタオルでしっかりと拭き取りましょう。
中には、被毛が濡れるのを嫌がる繊細な犬もいるので、そのような場合は雨や雪の日の散歩をおこなわず、室内で遊ばせるだけでも十分です。
ストレスにならないよう、知育おもちゃや室内用アジリティーなどを活用すると良いでしょう。
愛犬のペースに合わせる
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際は、愛犬のペースに合わせてあげることが大切です。
散歩の途中で休憩を挟んだり、歩くスピードを緩めたりして、愛犬の様子をよく観察しながら歩くようにします。
疲れているサインが見られる場合は、リードを引っ張って無理に歩かせてはなりません。
無理に歩かせると、散歩自体を嫌いになってしまう可能性があります。
休憩をしても歩きたがらないようであれば、抱っこをして早めに引き返しましょう。
愛犬がどのくらいの時間で疲れるのかを事前に計測しておいて、今後の散歩時間の参考にすると良いです。
落ち着ける場所や時間帯を選ぶ
老犬を散歩させる際は、不安となる要素を取り除くために、落ち着ける場所や時間帯を選ぶようにしましょう。
たとえば疲れやすい坂道や段差の多い場所は避けて、なるべく平坦な道を選ぶと良いです。
ほかにも、車通りの多い大きい道や子どもが多く通る学校周辺はストレスに感じる犬も多いので、のんびりと散歩が楽しめる場所を選んであげましょう。
また、散歩をする時間帯選びも重要だワン。
夜道の散歩は、視覚が衰える老犬にとって恐怖を感じてしまう傾向にあります。
視覚が衰えても安心して歩けるように、朝や昼間の明るい時間帯に散歩をさせると良いでしょう。
散歩コースを変えてみる
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる原因として、老化による意欲や好奇心の低下が考えられるのであれば、散歩コースを変えてみるのも1つの手段です。
普段とは異なる景色の中を散歩することによって、気分転換やストレス解消につながります。
また、新たな環境に接することは脳に良い刺激を与え、老犬の認知症予防にも有効です。
当然のことながら、強い刺激は心身に負担をかけるため、愛犬の状況に合わせてコースを選ぶようにしましょう。
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際はグッズを活用
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まる際は、グッズを活用してみるのも1つの方法です。
愛犬の状況によっておすすめのグッズが異なるので、それぞれの使い方や注意点などを理解しておくと良いでしょう。
介護用ハーネス
筋力が低下したことによって、散歩中に立ち止まったり、ふらついたりすることが増えた場合は、介護用ハーネスの活用を検討してみましょう。
前足用や後ろ足用、全身用など、さまざまなタイプの介護用ハーネスが販売されています。
おすすめは、サポートが必要な部分のみに装着できるハーネスです。
歩くことの楽しさを知ってもらうためにも、必要以上にサポートしないように配慮しましょう。
全身のサポートが必要になったときには、全身用のハーネスを選ぶと良いです。
ペットカート
歩行が困難な犬や散歩に行きたがらない場合は、ペットカートを活用して外に連れ出してあげるだけでも気分転換になります。
外の空気に触れたり、日光を浴びたりすることで、脳の活性化も期待できるでしょう。
自力で歩けるのであれば、なるべくカートを利用せずに自分で歩かせるのが望ましいです。
たとえば散歩の際にペットカートを持参して、愛犬が疲れた様子を見せたときにだけカートへ乗せるなどすると良いでしょう。
また、ペットカートはちょっとした遠出などで、移動時間が多いときにも便利です。
抱っこひも
「散歩の行きは自力で歩いてくれるけれど、帰りは歩いてくれない」という状況のときに、抱っこひもが役立ちます。
犬を抱っこをしたまま帰宅するのは、たとえ小型犬でも飼い主の腕が疲れてしまいますよね。
そんなときに抱っこひもを持参しておくと、腕の力を使わずとも愛犬を自宅まで運ぶことができます。
ペットカートも愛犬が疲れて歩いてくれないときに役立ちますが、使わないときはどうしても邪魔になってしまうのがデメリットです。
一方で、抱っこひもはペットカートに比べるとコンパクトなので、そこまで邪魔に感じることはないでしょう。
ただし、抱っこひもにもさまざまなタイプがあり、愛犬のサイズに合ったものを選ぶ必要があります。
「中・大型犬はペットカート」「小型犬は抱っこひも」というように、体のサイズによって使い分ける方法もおすすめです。
老犬が立ち止まるときは休みながら散歩を楽しもう
老犬が散歩中に歩かない・立ち止まるのは、老化による筋力低下や関節の痛み、ストレスなど、さまざまな原因が考えられます。
疲れているサインは見られないか、痛がる様子はないか、愛犬の様子をしっかりと観察しましょう。
原因を理解したうえで、愛犬に合った対処をしてあげることが大切です。
歩かないからといって散歩自体をやめてしまうと、肥満や認知症のリスクを高めてしまうことにつながります。
ゆっくりでも良いので、愛犬のペースに合わせて適度に散歩をさせるようにしましょう。
状況に応じて介護用ハーネスやペットカート、抱っこひもなども活用し、無理のない範囲で散歩を楽しむことが大切です。