「老犬のうんちが丸1日出てないけど大丈夫?」
「うんちが出ない原因ってなに?」
「自宅でできるうんちの出し方ってあるの?」
このように、老犬の排せつトラブルで悩まれている方は少なくないでしょう。
老犬になると運動量や食事量の減少など、さまざまな要因で便秘になることがあります。
しかしながら、うんちが出ないのを何日も放っておくと、便秘の悪化や病気を引き起こす恐れがあるため早めに対処することが大切です。
そこで本記事では、老犬のうんちが出ない時に考えられる原因や、その対処法を解説します。
また、おなかのマッサージ方法やうんちの出し方もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 老犬のうんちが出ない原因
- 老犬のうんちが出ない時の対処法
- おなかのマッサージ方法
- 自宅でできるうんちの出し方
老犬のうんちの平均回数は?丸1日出ないのは危険?
老犬のうんちの平均回数は、健康な状態で1日に1〜4回程度といわれています。
1日程度なら、うんちが出なくても心配する必要はありません。
ただし、丸2日以上うんちが出ない状態が続く場合は便秘の可能性が高いです。
また、毎日排便があったとしても、以下のような状態が続く場合は便秘になりかけているといえるでしょう。
- うんちの量が少ない
- うんちが細い
- うんちがコロコロとして硬い
- うんちがスムーズに出てこない
- うんちを出す時に痛がる
便秘を放っておくと腸にたまったうんちがどんどん硬くなり、自力でうんちを出すことが難しくなったり、病気を引き起こしたりする恐れがあります。
最悪、開腹手術が必要となるケースもあるため、注意が必要です。
うんちが出ない状態が丸2日以上続くのであれば、動物病院に1度相談してみることをおすすめします。
日ごろから、愛犬のうんちの回数や量をチェックするようにしましょう。
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は以下のとおりです。
- 運動量の減少
- 水分摂取量の減少
- 食事量の減少
- 消化機能の低下
- 筋力の低下
- ストレス
- 誤飲や病気
1つずつ解説します。
運動量の減少
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は、加齢による運動量の減少です。
犬は年齢とともに運動量が減り、寝ていることが増える傾向にあります。
運動量が減ることで胃腸の運動性が弱まるため、結果的に便秘になりやすくなります。
また、運動量の減少は肥満のリスクも高まるので、散歩に連れて行くなどして適度な運動を心がけるようにしましょう。
水分摂取量の減少
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は、水分摂取量の減少です。
犬は年齢とともに喉の乾きを感じにくくなったり、寝ている時間が増えたりする傾向にあります。
水分の摂取量が少ないとうんちが硬くなってしまうため、「うんちがコロコロしている」「うんちがスムーズに出てこない」といった排せつトラブルが起こりやすくなります。
特に夏場のような暑い時期に水を飲む量が少ないと、便秘だけではなく、熱中症を引き起こす恐れもあるので注意が必要です。
食事量の減少
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は、食事量の減少です。
運動量が減ることで必要なカロリーも減るため、老犬の食べる量は自然と減る傾向にあります。
また、加齢によって味覚や嗅覚が衰えると、食欲も減退しがちです。
食事量の減少はうんちの量が減ることにつながるので、結果的に便秘を招いてしまいます。
ドッグフードを食べてくれないのであれば、食事の見直しが必要です。
消化機能の低下
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は、消化機能の低下です。
犬は年齢とともに食欲や新陳代謝だけでなく、消化機能も低下します。
すると、食事を与えてもうまく消化吸収されず、下痢や便秘を招くことがあります。
老犬に与える食事は、必要な栄養をバランスよく摂取でき、かつ消化の良いものを選ぶようにしましょう。
足腰の衰え
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は、加齢による足腰の衰えです。
足腰が衰えると後ろ足に力が入らず、排せつの際に踏ん張ることが難しくなります。
また、いきむ力も弱まるので、うんちをしっかりと押し出すことができなくなります。
このような場合は、飼い主さんによるサポートが必要です。
ストレス
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は、ストレスです。
犬も人間と同様で、気温や環境の変化、長時間の留守番など、さまざまなことでストレスを感じます。
特に老犬は体力や感覚器が衰えることで恐怖や不安を感じやすく、ストレスによって体調を崩してしまうことがあります。
ストレスを放っておくと夜泣きや分離不安、破壊行動といった問題行動を引き起こす可能性があるため、なるべく愛犬の負担にならないような環境にすることが大切です。
誤飲や病気
老犬のうんちが出ない時に考えられる原因は、誤飲や病気です。
おもちゃや紙くず、毛髪など、何らかの異物を誤飲した場合、腸閉塞といって腸に異物が詰まってしまうケースがあります。
腸閉塞になると、元気がなくなったり、嘔吐をくりかえしたりするほか、下痢や便秘などの症状があらわれます。
また、肛門周囲に異常がみられる「会陰ヘルニア」や「前立腺肥大」といった、何らかの病気にかかっている可能性も高いです。
以下のような症状がみられる場合には、早めに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
- 元気や食欲がない
- 嘔吐をくり返す
- 排便時に痛みがある
- おなかが張っている
- おなかを触ると痛がる
- 3日以上うんちが出ていない
老犬のうんちが出ない時の対処法5選
老犬のうんちが出ない時はそのまま放っておくことはせず、なるべく早めに対処することが大切です。
主な対処法としては、以下の5つが挙げられます。
- 適度に運動させる
- 食事を見直す
- 飲水量を増やす
- マッサージをおこなう
- 排せつをサポートする
うんちが出なくても元気や食欲がある場合は、ぜひ試してみてください。
具体的にどのようなことをすれば良いのか、1つずつ見ていきましょう。
適度に運動させる
老犬のうんちが出ない時は、腸の動きを活発にさせるためにも、適度に運動させることが大切です。
筋力が低下すると排せつの際に踏ん張ることが難しくなるほか、最悪は立ち上がったり歩いたりすることが難しくなる恐れがあります。
激しい運動をおこなう必要はありませんが、愛犬のペースに合わせながらゆっくりと散歩をさせるのがおすすめです。
体を動かすことで、筋力の維持やストレス発散にもつながります。
外での散歩が難しい場合は、庭に連れ出すだけでも良いですし、室内でおやつを使った遊びなどをしても良いでしょう。
食事を見直す
老犬のうんちが出ない時は、食事を見直すことからはじめてみましょう。
犬は年齢とともに消化機能が低下するため、胃腸に負担のかからないドッグフードを与えることが大切です。
たとえば良質なたんぱく質で、かつ低脂肪の白身魚や鶏肉などが含まれているドッグフードがおすすめ。
また、おなかの調子を整えてくれる乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などが含まれているものも良いですね。
ただし、新しいフードに切り替える際は、消化に負担がかからないように1週間ほどかけて与えるようにしましょう。
今すぐ対処したいという場合は、ドッグフードに少量のトッピングを加えてみるのも1つの手段です。
- さつまいも
- じゃがいも
- かぼちゃ
- ブロッコリー
- りんご
など…
※与えすぎは消化不良を起こす恐れがあるので要注意
飲水量を増やす
老犬のうんちが出ない時は、飲水量を増やす工夫をしてみましょう。
視力や筋力の衰えた老犬であれば、喉が渇いたときにすぐ飲めるように、寝床の近くに水飲み場を設置してあげるのがおすすめです。
また、寝床から少し離れた場所にも水飲み場を設置し、どこにいても水を飲みやすい環境にしておくのも良いでしょう。
足が滑って飲みづらそうにしている場合は、床の上にマットや滑り止めシートなどを敷いてあげると飲みやすくなります。
体重1kgあたり40〜60ml
例)体重3kgの場合、1日あたり120〜180mlが目安
愛犬が1日にどれくらいの水を飲んでいるか、日ごろからチェックしておくと良いワン。
それでもなかなか水を飲んでくれない場合には、ドライフードをふやかしたり、ウェットフードに切り替えたりするのも1つの手段です。
ドライフードには約7〜10%の水分しか含まれていませんが、缶詰などのウェットフードには約70%もの水分が含まれています。
水分を多く含んだフードを与えることで、自然と水分摂取量が増えるためおすすめです。
ただし、やわらかいフードは食べかすが歯に付着しやすいので、歯周病などの口腔トラブルに注意してください。
マッサージをおこなう
老犬のうんちが出ない時は、腸のぜんどう運動を促進させるマッサージをおこなうのが有効です。
時計回りに「の」の字を描くようにして、おなか全体を優しくマッサージしてあげましょう。
ただし、中にはおなかを見せることを嫌う犬もいますので、無理のない範囲で取り入れてみてください。
詳しいマッサージ方法は後ほどご紹介します。
排せつをサポートする
足腰の衰えによってうんちがうまくできない時は、飼い主が排せつの手助けをしてあげましょう。
排せつのサインがみられたらトイレへ連れて行き、太ももの付け根あたりのくぼんだ部分を両手で持って背後から支えます。
もしくは、胸とおなかに手を添えて前から支える方法でもOKです。
愛犬が後ろ足を使って踏ん張りやすくなるように、やりやすい方法で試してみてください。
うまくうんちができたら、必ず褒めるようにしましょう。
排せつのサインは食後や運動後、就寝前に見られることが多いので、よく観察しておくことが大切です。
- 腰を落として膝を曲げる
- ソワソワし出す
- くるくる回る
- 床をしきりに嗅ぎ出す
- お尻を気にする
なお、自力でうんちをすることが難しくなった場合は、オムツの使用を検討するのも1つの手段です。
オムツは犬用オムツよりも、人間用の赤ちゃんオムツを使用することでコストを抑えられます。
以下の記事では、小型犬向けに人間用オムツのサイズや価格を比較していますので、ぜひ参考にしてください。
【簡単】老犬のうんちが出ない時に役立つおなかのマッサージ
先ほど、老犬のうんちが出ない時はおなかのマッサージが有効とお伝えしました。
ここでは、便秘解消マッサージの簡単な手順と大切なポイントをご紹介します。
今回はメルにマッサージをしてみたので、写真とともにご紹介しますね。
リラックス、リラックス〜♪
愛犬のおなかが上になるように抱きかかえます。
飼い主が正座をし、膝のうえで愛犬を仰向けにさせるとやりやすいです。
このとき、愛犬が仰向けになることを嫌がる場合は横に寝かせながらでも良いので、無理のない範囲でおこないましょう。
時計回りに「の」の字を描くようにして、おなか全体を手のひらで優しくなでます。
肛門に向かってうんちを押し出すイメージでおこなうのがポイント。
力の入れすぎに注意して、腸に適度な刺激を与えましょう。
- 愛犬の様子を見ながらおこなう
- 声をかけながらマッサージする
- 優しい力でマッサージする
- 冷えた手でマッサージはしない
- 嫌がる時や痛みがある時はすぐに中止する
- 食後のマッサージは避ける
また、マッサージの時間や回数は特に決まりはありません。
はじめは1〜2分ほどおこない、愛犬がリラックスして気持ち良さそうにしていれば3〜5分と時間を伸ばしていくのがおすすめです。
老犬のうんちが出ない時に役立つうんちの出し方
さまざまな工夫を凝らしても老犬のうんちが出ない時は、ぬるま湯に浸した脱脂綿や綿棒などで肛門を刺激する方法もあります。
肛門を刺激することで排便が促され、排せつ機能が残っている犬であれば自力でうんちを出せるようになるでしょう。
それでもうんちが出ない場合は、「圧迫排便」といって人の手でうんちを出すステップが必要になります。
圧迫排便の手順は以下のとおりです。
- 上記の方法で肛門を刺激する
- うんちがたまっている位置を確認する
- 親指と人差し指を使って肛門周りをつまむようにして押し出す
圧迫排便は押し出すタイミングや力加減が難しいため、はじめは動物病院で手順を教えてもらいましょう。
老犬のうんちが出ない時は体調を確認しよう!
排せつは食事や睡眠と同様に、生活するうえで重要なことです。
しかし、老犬になると運動量や食事量、水分摂取量が減少するなど、さまざまな原因によってうんちが出ない時があります。1日程度ならうんちが出なくても大きな問題はありませんが、日ごろから便秘にならない生活を送ることが大切です。
また、うんちが出ない時は食欲や元気はあるか、おなかは張っていないかなど、体調を確認するようにしてください。
便秘を頻繁にくり返すようであれば、1度かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。