「シニア犬になったらトリミングの頻度は減らすべき?」と考えている方は多いでしょう。
結論からいうと、犬の体調次第ではトリミングの頻度を減らすべきです!
とはいえ、具体的にトリミングの頻度はどれくらいが適切か、頻度を減らした分のケアはどうすれば良いのかなど、疑問が湧いてくるかと思います。
そこで本記事では、シニア犬のトリミングの頻度や、自宅でできるケア方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
- シニア犬のトリミングの頻度
- シニア犬になったときのトリミング方法
- シニア犬のケアを自宅でおこなうメリット
- 自宅でできるケア方法【部位別】
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シニア犬のトリミングの頻度は?
シニア犬になると、視力や聴力、筋力などが低下し、長時間のトリミングは大きな負担となります。
トリミングの時間が長ければ長いほどストレスを感じやすいワン…
これまで月に1〜2回と、定期的にサロンでトリミングをおこなっていた犬も、シニア期を迎えたら2ヶ月に1回程度を目安にするのがおすすめです。
「持病がある」「足腰が弱い」などの場合は無理をせず、その日の体調や状態を見たうえで判断しましょう。
また、体への負担を軽減させるためにも、シャンプーや爪のお手入れ、肛門線絞りなどをまとめて1回で済ませるのではなく、それぞれを日で分けておこなうのがポイントです。
一方で、介護が必要な犬であれば、無理にトリミングサロンを利用する必要はありません。
「部分シャンプーをする」「ホットタオルで全身を拭く」といった、自宅でできる方法もあります。
シニア犬のトリミングはどうする?3つの方法
シニア犬のトリミングでは、ストレスを与えないことや、愛犬の体調を優先させることが大切です。
ここでは、シニア犬のトリミングはどうするべきか、おすすめの方法を3つご紹介します。
動物病院でおこなう
愛犬の健康面に不安がある場合は、トリミングを受け入れている動物病院にお願いするのがおすすめです。
動物病院でトリミングをおこなうメリットとして、
- 体調をチェックしてくれる
- 何かあった場合にすぐに対応してくれる
などが挙げられます。
なんといっても、獣医師が常駐しているのは大きな魅力です。
環境に慣れさせるためにも、シニア期を迎えた段階で、今まで利用していたトリミングサロンから動物病院に切り替えると良いでしょう。
もちろん、最初から動物病院併設のトリミングサロンを利用しているのであれば切り替える必要はありません。
ただし、自宅から遠い場所のサロンを利用している場合は万が一のことを考慮して、すぐに駆けつけられる近所の動物病院にトリミングをお願いするのが最も安心な方法です。
出張トリミングを利用する
慣れた環境でトリミングをおこなう方法として、出張トリミングがあります。
わざわざトリミングサロンへ出向く必要がないため、移動中のストレスもありません。
また、飼い主のそばでトリミングを受けることは、犬にとっても大きな安らぎにつながるでしょう。
しかし、出張トリミングはまだまだメジャーではないのが現状です。
お住まいの地域によっては出張トリミングを営業している方が少なく、利用するのが困難な場合もあります。
飼い主が自宅でケアをする
トリミングの頻度を減らす代わりに、飼い主がブラッシングや耳のケアなど基本的なお手入れをおこなう必要があります。
愛犬への負担を軽減させるためにも、サロンにお願いするのはカットや肛門線絞りなどの必要最低限に抑えるのがおすすめです。
飼い主が日ごろから愛犬のケアをおこなうことで、清潔な状態を保てるのはもちろん、ちょっとした体調の変化も発見しやすくなります。
シニア犬のケアを自宅でおこなうメリットとは?
以下ではシニア犬のケアを自宅でおこなうメリット・デメリットをまとめてみました。
- トリミング代を節約できる
- 体調の変化に気付きやすい
- 愛犬と触れ合うことでより絆が深まる
シャンプーやカット、爪切りなど一連の流れをすべてサロンや動物病院にお願いすると、およそ5,000〜8,000円前後の費用がかかります。
しかし、ブラッシングや部分シャンプーなど、自宅でできる範囲のケアをおこなえば、トリミング代を安く抑えることが可能です。
また、飼い主がこまめにケアをおこなうことで、愛犬の健康チェックにもつながります。
目や皮膚の赤みなど、日常生活で見落としがちな体調の変化に気付きやすくなるのは大きなメリットです。
飼い主が自宅でケアをおこなえば、当然のことながら愛犬と触れ合う時間も増えます。
慣れない場所に出向いてトリミングを受けるよりも、飼い主にケアをしてもらうほうが愛犬にとっても嬉しいはずです。
声をかけながらお手入れしてあげることで、愛犬との絆はより一層深まることでしょう。
- 自分でおこなうのは難しい場合がある
- 正しい知識を得る必要がある
- 無理におこなうと信頼をなくす可能性がある
基本的なケアは自宅でもできますが、肛門線絞りや毛玉取りなど自分でおこなうのは難しいものもあります。
また、愛犬が嫌がったり暴れたりするケースもあるでしょう。
そのような場合は、無理をせずにプロにお願いするのがおすすめ。
シャンプーやカットなしでも、肛門線絞りや爪切り、耳掃除などは単品でもお願いすることが可能です。
自宅でケアをおこなう場合は、正しい知識を得る必要があります。
どの部分をケアするかによって使うアイテムや手順が異なるため、事前に正しいケア方法を把握しておくことが大切なポイントです。
また、愛犬の体調がすぐれないときは無理にケアをおこなう必要はありません。
嫌がっていることを無理におこなっても、飼い主としての信頼をなくすことにつながってしまうでしょう。
シニア犬へのケアは、ストレスを与えない範囲でおこなうことが重要です。
【シニア犬向け】自宅でできる体のケア
シニア犬になったとしても、体を清潔に保つために基本的なお手入れは必要です。
健康チェックも兼ねて、こまめに体のケアをおこないましょう。
ブラッシング
被毛に付着した汚れを取り除くためにも、日ごろからブラッシングをおこなうことが大切です。
ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、皮膚を刺激することで血行促進にも役立ちます。
ブラッシングをおこなう際に用意するものは以下のとおりです。
- ラバーブラシ(短毛種)
- スリッカーブラシ
- コーム
- ブラッシング用スプレー
まずは、スリッカーブラシを使用して毛の絡まりをほぐし、抜け毛や汚れを除去しましょう。
このとき、ブラシの先が皮膚にあたらないように優しくとかすことがポイントだワン。
ブラッシングで痛い思いをさせるとお手入れが嫌いになってしまう可能性もあるので、「丁寧に、優しい力でブラッシング」が基本です。
毛玉は手で優しくほぐすか、スリッカーブラシで毛先のほうから丁寧にほぐします。
大きな毛玉やフェルト状になった毛玉がある場合は、動物病院などにお願いするか、ハサミでカットするのも1つの方法です。
最後に、コームとスプレーを使用して毛並みを整えたら完成。
足腰が弱って立つことが難しい犬のブラッシングは、無理に立たせる必要はありません。
寝かせたままの状態で、声をかけてあげながら優しくブラッシングしましょう。
シャンプー
全身シャンプーを自宅でおこなうと時間がかかり、シニア犬の体力を消耗させてしまう可能性があります。
2ヶ月に1回ほど動物病院などで全身シャンプーをお願いできるなら、自宅では汚れた部分だけをきれいにする「部分シャンプー」がおすすめです。
部分シャンプーであれば、全身シャンプーに比べて短時間で済ませられます。
シャンプーをおこなう際に用意するものは次のとおりです。
- 犬用シャンプー
- 洗面器
- 吸水性のあるタオル
まずは、洗面器に37〜38度のお湯とシャンプーを入れます。
散歩などで足が汚れた場合は、洗面器の中に足を入れ、指の腹でマッサージするように1本ずつ優しく洗っていきましょう。
粗相などでお尻まわりが汚れた場合は、お尻の下に洗面器を置き、スポンジや手でお湯をかけながら洗っていきましょう。
泡をすすぐときは、洗い残しがないように気を付けます。
とくに足裏はシャンプーが溜まりやすいため、指の間までしっかりと洗い流すことが大切です。
最後に吸水性のあるタオルで水気を拭き取り、低温設定のドライヤーで乾かします。
生乾きのままにしておくと、雑菌が繁殖して皮膚疾患やにおいの原因になるので、毛に湿気が残らないようにしっかりと乾かしましょう。
寝たきりの場合
病気や寝たきりでシャンプーができない場合でも、月に2〜3回ほど温かいタオルで全身を拭いてあげると良いです。
37〜38度のお湯で濡らしたタオルをよく絞り、全身を包むようにタオルを広げましょう。
少しの間蒸らしてあげると、皮脂などの汚れが浮いてきます。
体を温めることで血行も良くなるワン。
汚れを浮かせたら、首からお尻に向かってタオルで拭き取ってあげましょう。
足裏も汚れが付きやすいので、指の間まで丁寧に拭きます。
部分シャンプーと同様、毛に水分が残っている状態だと炎症を起しやすくなるので、しっかりと乾燥させることが大切です。
【シニア犬向け】自宅でできる耳のケア
週に1回は耳の中の汚れをチェックしましょう。
耳には自浄作用が備わっているため、汚れが溜まっていなければ無理に耳掃除をおこなう必要はありません。
ただし、垂れ耳や脂漏体質などの犬種は耳の中が汚れやすいので、こまめなケアが必要です。
耳をケアする際に用意するものは以下のとおりです。
- イヤークリーナー
- ガーゼ
まずは、イヤークリーナーをガーゼに染み込ませます。
このとき、ガーゼがひたひたになりすぎないように注意が必要です。
続いて、表面に付着した汚れを優しく拭き取ります。
指を耳の奥まで入れたり、綿棒を使って耳掃除をしたりすると耳の内部を傷つける恐れがあるため、使用するものはガーゼのみで目に見える範囲だけをきれいにしましょう。
最後に、乾いたガーゼで耳の中の水分を拭き取ったら完了です。
事前に耳の中をチェックして赤みや腫れ、悪臭がある、耳垢が多いなど何かしらの異常がある場合は中断してください。
外耳炎や中耳炎を起こしている可能性もあるので、早めに動物病院で診てもらいましょう。
【シニア犬向け】自宅でできる歯のケア
シニア犬になると口内を清潔に保つ機能が衰えるため、歯垢や歯石が付着しやすくなります。
放置しておくと歯周病になってしまうだけでなく、内臓疾患の原因となる可能性があるのです。
口内のトラブルを防ぐためにも、歯のケアはなるべく毎日おこないましょう。
歯のケアをおこなう際に用意するものは以下のとおりです。
- 犬用の歯磨き粉
- ガーゼ
- 歯ブラシ
歯磨きに慣れていない場合は、ガーゼを使ったケアからはじめてみましょう。
ガーゼを指に巻きつけた後、ぬるま湯で湿らせ、歯の表面を擦るように磨きます。
歯を磨くことに慣れてきたら、歯ブラシを使ったケアに挑戦しましょう。
歯ブラシに歯磨き粉をつけたら、優しい力で歯をマッサージするように磨きます。
このとき、上下に細かく動かしてあげることがポイントです。
強引に歯ブラシを口の中に入れたり、歯を触ったりすると、歯磨き自体を嫌がってしまう可能性があるワン。
まずは前歯の外側から磨きはじめ、少しずつ範囲を広げて慣れさせていくことが大切です。
【シニア犬向け】自宅でできる目のケア
シニア犬になると涙や目やにが出やすくなるため、目のまわりを清潔に保ってあげましょう。
目のまわりに付着した目やにを放置しておくと、毛に絡まって取れにくくなるほか、目のまわりの毛が赤茶色に変色する「涙やけ」の原因にもなります。
目のまわりをケアする際に用意するものは以下のとおりです。
- フェイスクリーナー
- 脱脂綿やガーゼ
まずは、脱脂綿やガーゼにフェイスクリーナーをしみ込ませます。
このとき、脱脂綿やガーゼがひたひたになりすぎないよう、フェイスクリーナーの量に気をつけましょう。
目のふちから5mmほど離し、目頭から目尻に流れるように優しく拭きます。
目やにが固まっている状態だと毛が引っ張られて痛い思いをさせてしまうので、目やにをしっかりとふやかしてから拭き取ってください。
目のまわりをケアする際は、脱脂綿やガーゼ、フェイスクリーナーが目に入らないように注意が必要です。
目に濁りや充血が見られる場合は、白内障や結膜炎などの目の病気が考えられます。
症状を悪化させないためにも、愛犬の異変に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。
【シニア犬向け】自宅でできる爪のケア
シニア犬になると運動量が減り、爪の伸びが早くなったと感じることが増えます。
立ち上がったときにバランスを崩して転んだり、歩行中に滑ったりする危険があるため、月に1〜2回を目安に爪を切ってあげることが大切です。
爪のケアをおこなう際に用意するものは以下のとおりです。
- 犬用の爪切り
- ヤスリ
爪切りには、輪の中に爪を入れてカットする「ギロチンタイプ」と、挟んで爪をカットする「ニッパータイプ」があります。
普段の爪切りには、軽い力できれいに切れるギロチンタイプがおすすめです。
ニッパータイプは細かい部分のカットに適しているので、必要に応じて使い分けると良いでしょう。
ヤスリは爪を切り終わった後に、角を丸く整えるために使用します。
血管に近づくと断面が白から透明っぽい色になるため、そのラインで切るのをやめておきましょう。
爪を切りすぎると痛いし怖いワン…
万が一、切りすぎて出血した場合はティッシュやガーゼなどをあてて、5分ほど押さえると止血できます。
なお、爪切りは自宅でもできますが、愛犬が嫌がって爪切りをさせてくれないケースもあるでしょう。
そのようなときは、無理をせずにかかりつけの動物病院に相談してください。
シニア犬のトリミングは頻度を減らして自宅でケアしよう
シニア犬にとって長時間のトリミングは大きな負担となるため、トリミングの頻度は2ヶ月に1回ほどのペースでおこなうのがおすすめ。
健康面が気になる場合は、トリミングサロンを併設している動物病院にお願いすると安心です。
愛犬へのストレスを軽減させるためにも、ブラッシングや部分シャンプー、耳のケアなど、自宅でできる範囲のことはなるべく飼い主がしてあげると良いでしょう。
こまめにケアをおこなうことで、愛犬の異変に気付いたり、絆がより一層深まったりと、さまざまなメリットが得られます。
愛犬の体調や状態を考慮しながら、自宅でのケアを習慣づけてみてください。