「シニア犬って何歳から?」
「食事や運動は今のままでいいのかな」
「愛犬のためにできることはないだろうか」
このような疑問や不安を抱いている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
愛犬がまだまだ元気な状態だとしても、加齢による変化は体や心に少しずつ現れてきます。
愛犬が少しでもシニア期を健やかに過ごせるように、飼い主は犬のシニア期について把握しておくことが大切だワン。
そこで本記事では、シニア犬は何歳からなのか、老化の症状やシニア期に気をつけたいポイントなどを解説します。
シニア犬は何歳から?
犬のシニア期は、体のサイズによって異なるのが特徴です。
大きく分けると、「小・中型犬」と「大型犬」に分類されます。
それでは、それぞれのシニア期について見ていきましょう。
小・中型犬
小・中型犬のシニア期は10歳ごろからと言われており、このころから体力や感覚器の衰えが目立つようになってきます。
犬の10歳を人間の年齢に換算すると、およそ「56歳」です。
もちろん犬種や個体差によって老化が始まる時期は異なるため、中には10歳を過ぎても元気で若々しく見える犬もいます。
犬のシニア期は、あくまでも目安だということを理解しておきましょう。
大型犬
一方で、大型犬は小・中型犬に比べると老化が早く、7歳ごろからシニア期に入るといわれています。
犬の7歳を人間の年齢に換算すると、およそ「54歳」です。
小・中型犬と同様に個体差があるため、7歳になったからといってすぐに老化のサインが出始めるわけではありません。
しかし、犬のシニア期をちゃんと把握しておくことで体の衰えを発見しやすく、病気の早期治療や介護への心構えにもつながります。
シニア犬になるとどう変化する?老化の症状
シニア犬になると、どのような変化が現れるのでしょうか。
些細な変化もすぐに発見できるように、飼い主は犬の老化の症状を把握しておきましょう。
ここでは、老化の症状を「体の変化」と「心の変化」に分けて解説します。
体の変化
老化による体の変化は、毎日の健康チェックで早期発見につながる可能性があります。
主に変化が現れる箇所とどのような症状が現れるのかを解説しますので、本記事を参考に愛犬の変化をこまめにチェックしてみてください。
被毛
年齢を重ねるにつれてメラニン色素の生成機能が衰えていきます。
そのため、鼻や口周りだけでなく、体全体に白っぽい毛が目立つようになるでしょう。
乾燥や脱毛の症状が現れるケースもあるので、「被毛のツヤがなくなった」「皮膚にハリがなくなった」「抜け毛が増えた」などから愛犬の老化を感じ始める飼い主さんも多くいらっしゃいます。
耳
聴覚が衰えると、名前を呼んでも反応しなかったり、大きな音を出しても驚かなかったりと、声や音への反応が鈍くなってしまいがちです。
また、外耳炎や内耳炎などになりやすく、耳垢が増えて耳周りが汚れてしまうこともあります。
目
視覚が衰えると、家具や物にぶつかることが多くなってきます。
中には、瞳が白く濁る「白内障」や「核硬化症(かくこうかしょう)」になってしまうケースも。
また、目やにや涙の量が多くなり、目の周りが汚れてしまうこともあるでしょう。
口内
年齢を重ねるにつれて唾液の分泌量が低下します。
歯石がたまりやすくなり、口臭がキツイと感じるようになってくるでしょう。
口臭が強くなる要因として、歯周病など口内の病気を発症している可能性もあります。
舌や歯ぐきの変色がないかもチェックしましょう。
歩行
足腰の筋力が低下すると四肢にバランスよく体重をかけられなくなるため、よろけてしまったり、歩くペースが遅くなったりします。
関節が痛む場合は、片足を引きずって歩くケースもあるでしょう。
肉球や爪
乾燥により肉球の弾力性が失われ、カサつきやひび割れが気になってきます。
無理に歩かせると、肉球から出血する可能性があるので要注意です。
また、運動量の減少によって爪が削れにくくなり、爪の伸びが早くなったと感じることもあるでしょう。
心の変化
老化による心の変化は、判断がなかなか難しいものです。
普段から愛犬とのスキンシップを心がけて、「いつもの様子と違う」と何か違和感を覚えたらメモに残しておくと良いでしょう。
甘えん坊になる
シニア犬は視力や聴力、筋力などが低下することで、恐怖や不安を感じやすくなります。
特に小さなころから怖がりだった犬はより甘えん坊になり、人に寄り添ってくる傾向があるでしょう。
恐怖や不安となる原因を見つけて、愛犬が少しでも落ち着けるような環境を作ってあげることが大切です。
頑固になる
筋力の低下や体の痛みなどが原因で、人の指示や呼びかけに反応しなくなり、頑固になったように見えることがあります。
また、今までは受け入れていたことも拒絶することがあるかもしれません。
何らかの病気が隠れている可能性もあるので、愛犬が頑固になったと感じたら、まずは体の状態に異常がないかをチェックし、かかりつけの獣医師に相談してみると良いでしょう。
無気力になる
視覚や聴覚が衰えると、散歩や遊びなど物事への関心が薄れる傾向にあり、寝ていることが増えます。
また、認知症の初期症状として、無気力に見えることもあるでしょう。
認知症を防ぐためにも、できることならシニア期に入る前から刺激のある生活を送ることが大切です。
- 普段から健康チェックをおこないましょう
- 気になることがあったらノートやメモ帳に記録しておいて、動物病院を受診する際に持参すると良いでしょう
シニア犬になったら気をつけたいポイント
シニア犬になったら、今まで通りの生活を送るのではなく、体の変化や体調に合わせて食事や運動、住環境などを変えていかなければなりません。
ここでは、シニア犬になったら気をつけたいポイントを解説します。
食事
シニア犬になると新陳代謝が低下するため、若いころと同じフードではカロリー過多になってしまいます。
7〜10歳ごろを目安に、栄養バランスの良いシニア食へ切り替えるのがおすすめです。
ただし、見た目は元気でも消化機能が衰えている場合もあるので、老化が目立つ前にかかりつけの獣医師にシニア用フードへの切り替えについて相談してみると良いでしょう。
シニア用フードは、日本のペットフード公正取引協議会の栄養基準をクリアした「総合栄養食」と明記されたものを選ぶのがおすすめです。
運動
健康維持のためにも、散歩や運動はできる限り無理のない範囲でおこないましょう。
ときには、散歩のコースや時間を変えて脳を活性化させることも大切です。
また、シニア犬になると体温調節の機能が衰えるため、散歩をおこなう際は季節や天候に配慮しましょう。
たとえば夏は早朝や夕方の涼しい時間帯に散歩をしたり、冬は防寒服を着用して体温調節をおこなったりして、愛犬が快適に運動できるように工夫する必要があります。
散歩コースを変更する場合は階段や急な坂道を避け、足腰に負担がかからないコースを選びましょう。
住環境
体力や感覚器が衰えたシニア犬は恐怖や不安を感じやすくなるため、愛犬がリラックスできる環境を整えてあげましょう。
怪我を防ぐためにも、家具の角をクッション材などでカバーしたり、段差にスロープを設置して床をフラットにしたりすると良いです。
また、高温多湿を避けて快適な室温をキープすることも大切なポイントと言えるでしょう。
シニア犬になったら定期健診も忘れずに!
シニア犬になったら、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
「毛のツヤがなくなった」「口臭が強くなった」など、見た目で老化を判断できることもありますが、心臓や肝臓などの健康状態は検査をしてみないとわかりません。
隠れた病気を発症している可能性もあるので、少なくとも半年に1回は健康診断を受けましょう。
愛犬の健康を保つためにも、病気の早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
まとめ
犬は7〜10歳ごろを目安にシニア期を迎えます。
シニア犬になると体や心にさまざまな変化が現れてくるでしょう。
老化による変化で不安を感じやすくなってしまうので、飼い主は愛犬とのスキンシップを大切に、リラックスできる環境を整えてあげると良いです。
まだシニア期に入る前だとしても、健康チェックを毎日欠かさずにおこないましょう。