犬はシニア期を迎えると、視力や聴力が衰えたり、寝ている時間が増えたりと、さまざまな老化症状が見られるようになります。
最初は愛犬の老化に戸惑うかもしれませんが、できるなら1日でも長く元気に過ごしてほしいですよね。
本記事では、シニア犬との過ごし方で大切なことを4つご紹介します!
また、シニア犬が過ごす中で危険となる6つの箇所と、環境づくりのポイントも解説しますので、「最近、愛犬が衰えてきた」と感じている方はぜひ参考にしてください。
- シニア犬との過ごし方で大切なこと
- シニア犬にとって危険な箇所
- 危険を回避するための方法
- シニア犬が心地よく過ごせる環境づくり
シニア犬との過ごし方で大切なこと
シニア犬になると、さまざまな老化症状が現れるワン。
ささいなことでストレスを感じやすかったり、転倒やけがのリスクが高くなったりと、若いころに比べてより慎重に過ごしていく必要があるでしょう。
シニア犬と過ごすうえで大切なのは、運動や食事だけではありません。
以下では、シニア犬との過ごし方で大切なことを4つご紹介します。
生活リズムを崩さない
シニア犬との過ごし方で大切なのは、生活リズムを崩さないことです。
朝起きたら散歩をして食事、日中は日向ぼっこをしながらお昼寝、夜はごはんを食べて◯時に就寝といったように、若いころから続けてきた1日のスタイルがあるかと思います。
シニア犬になっても、可能な範囲で同じような生活を送ることがポイントです。
たとえば夜に寝ることが習慣になっていたにもかかわらず、飼い主の事情で急に昼夜逆転生活にさせてしまうのは、シニア犬にとって大きなストレスとなります。
また、年齢とともに昼寝の時間が増えて夜の活動時間が長くなった、というケースもあるでしょう。
しかし、昼夜逆転は犬の認知症の初期症状でもあります。
昼間に日光浴や適度な運動をさせることで、生活サイクルを正常に戻すことが可能です。
シニア犬の健康を維持するためにも、いつもと変わらない生活を心がけましょう。
「愛犬がよく寝るようになった」とお悩みの方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
スキンシップをたくさんとる
シニア犬との過ごし方で大切なのは、スキンシップをたくさんとることです。
シニア犬になると体力や感覚器が低下し、不安を感じやすくなります。
また、不安や恐怖から「甘えん坊になった」と感じることもあるでしょう。
安心感を与えるためにも、積極的にコミュニケーションを図り、少しでも愛犬と過ごす時間を多くとってください。
声をかけるのはもちろん、簡単なゲームをしたり、知育玩具で遊んだりするのもおすすめです。
また、マッサージも大切なスキンシップの1つで、脳の活性化が期待できます。
脳に程よい刺激を与えることで、認知症の予防にもつながるでしょう。
健康チェックを欠かさない
シニア犬との過ごし方で大切なのは、健康チェックを欠かさないことです。
犬は年齢とともに体のさまざまな機能が低下し、病気にかかりやすくなります。
1日でも長く元気で過ごしてもらうためにも、病気のサインや異変にいち早く気づき、早期治療をおこなうことが重要です。
日ごろからスキンシップをたくさんとり、愛犬の様子を観察しましょう。
飼い主が自宅でブラッシングをしてあげたり、耳や口のケアをおこなったりすることで、病気の早期発見につながります。
また、犬がかかりやすい病気を把握しておくことはもちろん、頼りになる動物病院を見つけておくことも大切といえるでしょう。
シニア犬は体重や食事量、排泄量などが変化しやすいため、記録をつけておくといざというときに役立ちます。
室内環境を見直す
シニア犬との過ごし方で大切なのは、室内環境を見直すことです。
シニア犬になると視覚や聴覚が衰えるため、転倒やけがのリスクが高まります。
愛犬がこの先も快適に過ごせるように、けがをさせない空間をつくってあげましょう。
滑りやすいフローリングにタイルカーペットを敷くなど、ちょっとしたアレンジを加えることで愛犬のストレスが解消されるはずです。
また、これまでは屋外で過ごしてきたけれど、年齢や病気をきっかけに室内飼育に変えるケースもあるでしょう。
シニア犬が過ごす中で危険となる6つの箇所
小さなころから住んでいた家でも、シニア犬にとっては危険となる箇所が複数存在します。
けがや事故を未然に防ぐためにも、危険となる箇所やどのような対策が必要なのかを把握しておきましょう。
床
シニア犬にとって危険となる1つ目の箇所は、フローリングや畳などの滑りやすい床です。
年齢とともに脚力が衰えるので、滑りやすい床材では踏ん張ることが難しくなります。
関節へのダメージも大きく、大きな病気やけがにつながる可能性も高いでしょう。
足腰にかかる負担を減らすためにも、歩きやすい床材に変えて快適な環境をつくってあげることが大切です。
床材を選ぶポイントは以下のとおり。
- 滑りにくいもの
- 程よくクッション性があるもの
- 防水性があるものor水洗いできるもの
おすすめしたいのは、ジョイント式のコルクマットやタイルカーペットだワン。
滑りにくいだけでなく、粗相をした際に汚れた部分だけを取り外して洗える点は、大きなメリットといえるでしょう。
階段
シニア犬にとって危険となる2つ目の箇所は、階段の上り下りです。
これまでは問題なく階段を使用していた場合でも、視力や筋力の衰えから、いつ足を踏み外してしまうかわかりません。
最悪、階段から落下して骨折するケースも珍しくなく、痛みや治療などで愛犬につらい思いをさせてしまう可能性もあります。
階段からの落下を防ぐためにも、階段の使用を避けることが大切です。
フェンスを設置するなど、勝手に上り下りできないように対策すると良いでしょう。
段差
シニア犬にとって危険となる3つ目の箇所は、ソファやベッドまわりの段差です。
飛び降りる動作はシニア犬にとって関節へのダメージが大きく、骨折や痛みの原因となる恐れがあります。
けがを未然に防ぐためにも、ソファやベッドまわりはもちろん、玄関や縁側など段差が生じる場所にはスロープやステップを設置するようにしましょう。
はじめは怖がって使ってくれないかもしれませんが、フードやおやつで誘導しながら徐々に慣らしていくと良いです。
また、足腰が弱くなったシニア犬は、少しの段差でもつまずきやすくなります。
部屋と部屋の間にある段差や、カーペットと床とのちょっとした段差も注意が必要なので、なるべくフラットな状態にしてあげましょう。
柱・家具の出っ張り
シニア犬にとって危険となる4つ目の箇所は、柱や机の脚、家具の出っ張りなどです。
白内障を発症している犬や加齢にともなって視力が低下している犬は、あらゆる場所にぶつかりやすくなります。
できるなら目が見えなくなる前に、けがの原因になりそうな家具をほかの場所に移動させて、安全な環境をつくってあげることが理想です。
すでに視力が低下している場合や家具の移動が難しい場合は、万が一ぶつかってもけがをしないようにクッション材やタオルなどでカバーしましょう。
電気コード
シニア犬にとって危険となる5つ目の箇所は、コンセントまわりにある電気コードです。
足がコードに引っかかったり絡まったりして、転倒する恐れがあります。
たこ足配線などで電気コードが密集している場所は、特に注意が必要です。
コードに足が引っかかることで、炊飯器やポットなどの電化製品が落下して大きなけがにつながる可能性もあるでしょう。
さらに、電気コードをかじって感電したり、かじったコードを飲み込んだりする危険性もあります。
けがを防ぐために、愛犬が通る道にはコードを置かない、導線がむき出しになっているコードはカバーをつけるなどの配慮が大切です。
コードが密集しているところへ行かせないように、コンセント周りを柵で囲ってしまうのも良いでしょう。
隙間
シニア犬にとって危険となる6つ目の箇所は、家具と家具の間やソファ・ベッド下の隙間です。
認知症の症状の1つに、後ずさりが苦手になることが挙げられます。
飼い主が見ていない間に家具の隙間に入り込んで、何時間も動けない状態だったというケースも少なくありません。
隙間に入り込んでしまわないように、段ボールやクッション、毛布などで塞いでおくことをおすすめします。
また、フェンスを設置して通れないようにしておくのも1つの手段です。
シニア犬が心地よく過ごせる環境づくり
上記では、シニア犬にとって危険な箇所とその対策を解説しましたが、同時にストレスの少ない快適な環境をつくってあげることも大切です。
以下では、シニア犬が心地よく過ごせる環境づくりのポイントを3つ解説します。
安らげるスペースをつくる
犬は年齢とともに不安を感じやすくなるため、安らげるスペースをつくってあげることが大切です。
愛犬が1日の中でもっとも長く過ごすスペースは、人の気配がするリビングにつくってあげましょう。
お気に入りのクッションやベッドを置いて、ゆっくりと体を休めたり、日光浴をしたりすることで安心感につながります。
また、飼い主の見える範囲で愛犬が過ごすことで、体調や様子の変化に気づきやすくなる点は飼い主にとっても大きなメリットです。
これまで玄関や廊下などを生活スペースとしてきた犬も、これを機にリビングに移してあげると良いでしょう。
高温多湿を避ける
犬は加齢にともなって体温を調整する機能が低下するため、人間が心地よいと思う温度でもシニア犬は暑さや寒さを感じている可能性があります。
シニア犬にとって最適な温度は25度前後、湿度は50%前後です。
ぱっと見て温度と湿度を把握できる温湿度計を室内に設置して、常に心地よい環境をつくってあげると良いでしょう。
冷暖房を使用していると同じ室内でも高い位置と低い位置では温度が変わるので、愛犬がいつもくつろいでいるスペースの、なるべく低い位置に温湿度計を設置するのがおすすめです。
また、冷暖房の風が愛犬の体に直接あたらないよう、ベッドの位置にも気をつけましょう。
冷暖房の風があたり続けると、シニア犬にとっては大きな負担となってしまいます。
トイレ環境を見直す
シニア犬になると、腎機能の低下や筋肉の衰え、病気などが原因でトイレの回数が増えることがあります。
タイミングを見計らってトイレに連れて行ければ良いですが、間に合わず粗相してしまうこともあるでしょう。
このとき注意したいのは、トイレを失敗しても叱らないことです。
叱られることを恐れて、飼い主がいないところで粗相してしまう可能性もあるワン。
粗相を減らすためにも、トイレ環境を以下のように今一度見直してみることが大切です。
- トイレのスペースを広げる
- トイレトレーとトイレシートを大きいサイズにする
- すぐに行きやすい場所へトイレを移す
- トイレの場所を増やす
粗相がひどくなってきた場合、しつけやトレーニングでの改善は難しいのでオムツの使用を検討してみてください。
シニア犬との過ごし方で重要なのは快適な環境づくり
シニア犬になると体のあらゆる機能が衰え、若いころにできたことが難しくなっていきます。
愛犬がストレスフリーで元気に過ごせるように、まずは住環境を見直していくことが大切です。
心が休まる環境をつくったうえで、日光浴や適度な運動を心がけ、1日でも長く一緒に過ごせるようにしたいですね。
声をかけたりマッサージをしたりして、愛犬が喜ぶスキンシップも積極的におこなうと良いでしょう。