- 最近、年のせいか愛犬の水分摂取量が減っている気がする
- 老犬が水を飲まないのは体調が悪いから?
- なんとか老犬に水を飲ませたい
このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もし1日に必要な水分量を下回っている場合は、体に影響を及ぼす恐れがあるため、なんとか水分を摂取できるように何らかの対策をおこなうことが大切です。
そこで本記事では、老犬が水を飲まないときに考えられる理由や水を飲まないことで起こり得るリスクを解説します。
水を飲ませる方法や便利な道具などもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 老犬が水を飲まない理由
- 老犬が1日に必要な水分量
- 老犬が水を飲まないときのリスク
- 老犬に水を飲ませる方法
- 水分補給ゼリーは水を飲ませる方法として有効か
- 寝たきりの老犬に水を飲ませる方法
- 老犬に水を飲ませるときに便利な道具
老犬が水を飲まないときに考えられる7つの理由
老犬が水を飲まないときに考えられる理由は以下のとおりです。
- 水分摂取量が足りている
- 筋力が低下している
- 関節が痛い
- 喉の渇きに鈍感になっている
- 容器が飲みづらい
- ストレスを感じている
- 病気や口の中に異常がある
1つずつ解説します。
水分摂取量が足りている
1つ目に考えられる理由は、水分摂取量が足りているからです。
容器の中の水が減っていないと感じても、実はほかの方法で水分を摂取できている可能性があります。
なぜなら、水分は飲水だけでなく、ウェットフードや果物などからも摂取できるためです。
ウェットフードには約70%の水分が含まれており、果物に関しては90%近くが水分でできているものも存在します。
愛犬が元気で、食欲やおしっこにも問題がないのであれば、大きな心配は必要はないでしょう。
筋力が低下している
2つ目に考えられる理由は、筋力が低下しているからです。
老犬になると運動量が減り、それにともなって筋力も低下します。
すると、体を動かすことが億劫になるため、1日の水分摂取量が減ってしまうことがあります。
特にベッドから水飲み場までの距離がある場合には、こうしたケースがみられることが多いですね。
関節が痛い
3つ目に考えられる理由は、体の関節が痛いからです。
骨折や関節炎など、何らかの異常によって関節に痛みを感じると、歩いたり立ち上がったりすることを嫌がるようになります。
その結果、水を飲む回数が減ってしまうこともあるでしょう。
あまりに痛みがひどいと、足を引きずって歩く姿がみられるので、愛犬の様子が変だなと思ったらすぐに動物病院を受診するようにしてください。
喉の渇きに鈍感になっている
4つ目に考えられる理由は、喉の乾きに鈍感になっているからです。
老犬になると体の感覚が鈍くなり、喉の渇きにも気付かないことがあります。
このような場合は、知らない間に脱水症状を起こしてしまうケースもあるため危険です。
「水を飲む回数が少ないな」と感じたら、何かしらの方法で水分を摂取できるように工夫しよう。
容器が飲みづらい
5つ目に考えられる理由は、容器が飲みづらいからです。
容器の位置が低すぎたり、高すぎたりすると首に負担がかかり、水を飲むのを嫌がる場合があります。
中でもノズル式の容器は高さ調整ができて便利ですが、高さが合っていない状態で使用させると、愛犬がむせてしまう原因になるので注意が必要です。
なるべく水を飲みやすい容器に変えてあげるか、愛犬の高さにしっかりと合わせてあげることが大切といえます。
ストレスを感じている
6つ目に考えられる理由は、ストレスを感じているからです。
引っ越しによる環境の変化や気温の変化、長時間の留守番など、さまざまなことが原因でストレスを感じている可能性があります。
不安やストレスによって、食欲不振や体調不良を引き起こす犬は多いのです。
また、水が汚れていたり、玄関や廊下などの落ち着かない場所に水飲み場を設置していたりする場合も、老犬にとってストレスになることは珍しくありません。
老犬は感覚器や体力の衰えにより、不安やストレスを感じやすい傾向にあるため、ストレスのサインがみられないか、こまめに様子を観察することが大切です。
病気や口の中に異常がある
7つ目に考えられる理由は、病気や口の中に何らかの異常があるからです。
たとえば腎不全や膵炎、歯周病や口腔内トラブルなどは、食欲低下の症状がみられることがあります。
このほかに、
- ぐったりとして元気がない
- 嘔吐や下痢をしている
- おしっこが丸1日出ていない
- 口の中を触ると痛がる
このような症状がみられる場合には、すぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
老犬が1日に必要な水分量の目安は?
老犬の健康を維持するためにも、飼い主は1日に必要な水分量について把握しておく必要があります。
犬が1日に必要とする水分量の目安は以下のとおりです。
1kgあたり40〜60ml
例)体重3kgの場合は120〜180ml(日)/体重5kgの場合は200〜300ml(日)
「なんだか水を飲む量が少ないな」と感じたら、愛犬が1日にどれくらいの水分を摂取しているのかをチェックしてみよう。
水分摂取量を調べるときは、計量カップを使用すると便利です。
まず、計量カップで水の量を確認し、お皿いっぱいになるように水を入れます。
水を取り換える際、飲み残しがある場合は残った水を計量カップに戻します。
そうすることで、愛犬がどれくらいの水分を摂取したのか、正確な量を把握することが可能です。
なお、当然ですが、ウェットフードや手作り食などを与えている場合は水を飲む量が減ります。
老犬が水を飲まないことで起こり得るリスク
では、1日に必要な水分量を下回る状態が続いてしまった場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
老犬が水を飲まないことで起こり得るリスクは以下のとおりです。
- 脱水状態に陥る
- 便秘になる
- 病気のリスクが高まる
1つずつ解説します。
脱水状態に陥る
水分不足になると、脱水状態に陥る恐れがあります。
犬の脱水は夏場だけでなく、季節を問わずに起こり得るものです。
脱水時にみられるサインは以下のとおり。
- 食欲や元気がない
- 下痢や嘔吐を起こしている
- 口の中が乾燥している
- 皮膚に弾力がない
- おしっこが少ない・色が濃い
脱水を疑うような症状がみられる場合には、できるだけ早く、適切な処置を受けることが大切です。
- 首の後ろや背中の皮膚を優しくつまみ、手を離す
- 皮膚が元の状態に戻るまでの時間をみる
2秒以内:正常/2秒以上:脱水の疑い
便秘になる
犬も人間と同様で、水分不足になると便秘になりやすくなります。
便が硬くなると、筋力が低下した老犬はいきむことが難しくなるほか、排便時に痛みをともなうことがあります。
症状がひどい場合には、浣腸や下剤の投与、開腹手術などが必要になることもあるので注意が必要です。
便秘時にみられるサインは以下のとおり。
- 元気や食欲がない
- 嘔吐をくり返す
- 排便時に痛みがある
- おなかが張っている
- おなかを触ると痛がる
- 3日以上うんちが出ていない
上記のような症状がみられる場合には、速やかに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
病気のリスクが高まる
水分不足になると、尿路に石がたまる「尿石症」や膀胱に炎症が起こる「細菌性膀胱炎」のほか、腎臓病や歯周病など、さまざまな病気のリスクが高まります。
愛犬の健康を維持するためにも、しっかりと水分を摂取できるように工夫してあげましょう。
老犬が水を飲まない!水を飲ませる方法7選
老犬が水をなかなか飲まないときは、何らかの方法で水を摂取させる必要があります。
老犬に水を飲ませる方法は以下のとおりです。
- 水飲み場の環境を見直す
- 水飲み場を増やす
- フードの水分量を増やす
- 水に変化をつける
- 野菜や果物から水分を補給する
- 容器を工夫する
- 手やスプーンで与える
具体的にどうすれば良いのか、1つずつ解説します。
水飲み場の環境を見直す
老化による筋力低下が原因であれば、水飲み場の環境を見直すことから対策してみてください。
たとえば生活スペースの近い場所に水飲み場を設置したり、足が滑って飲みにくいならマットや滑り止めを敷いてあげたりすると良いです。
また、玄関や廊下などの人通りが多い場所や真っ暗な場所ではなく、愛犬が落ち着いて水を飲める場所に水飲み場を設置してあげることも大切です。
水飲み場を増やす
筋力低下によって移動するのが億劫になっているのであれば、水飲み場を増やしてあげる方法も良いでしょう。
たとえば2つの部屋をよく行き来するなら、それぞれの部屋に水飲み場を設置してあげます。
生活スペースとキッチンがつながっている場合は、ベッド付近に1つ、キッチン付近に1つ設置してあげます。
このように、愛犬がよく通る場所の周りに水飲み場を設置して、いつでも水を飲める環境にしておくことが大切です。
フードの水分量を増やす
老犬になると喉の渇きに鈍感になるため、フードの水分量を増やして自然と水分摂取量を増やしてあげるのもおすすめです。
方法としては、
- ドッグフードをぬるま湯でふやかす
- ウェットフードに切り替える
の2つが挙げられます。
ドライフードには約7〜10%の水分しか含まれていませんが、ぬるま湯でふやかすことで食事と一緒に水分も自然と摂取できます。
フードが水分で膨らむため、満腹感も得られやすく、運動量の少ない老犬や肥満が気になる犬にもおすすめだよ。
また、ウェットフードには約70%もの水分が含まれているため、ふやかしたドッグフードを食べない場合はこちらに切り替えても良いでしょう。
飲み水に変化をつける
飲み水に変化をつけて、香りを強める方法も1つの手段です。
たとえばお肉のゆで汁や、犬用として販売されているだしスープなどを水に少量加えることで、喜んで飲んでくれる可能性があります。
トッピングとしてドッグフードに加えてもOKです。
乳製品アレルギーがない犬であれば、犬用ミルクやヤギミルクなどを使用しても良いですね。
野菜や果物から水分を補給する
老犬が水を飲まないときは、水分を多く含む野菜や果物を与えてみる方法も有効です。
水分を多く含む食材は以下のとおり。
食材(可食部100gあたり) | 水分含有率 |
---|---|
キュウリ | 約96% |
大根 | 約95% |
トマト | 約94% |
イチゴ | 約90% |
スイカ | 約90% |
ラズベリー | 約88% |
りんご | 約84% |
水分を多く含む食材を与えることで、自然と水分を補うことができます。
ただし、水分を摂取できるからといって、これらの食材をメインに与えるのではなく、あくまでもおやつやトッピングとして与えることが大切です。
容器を工夫する
容器が原因で飲みづらそうにしているのであれば、容器を工夫してみることをおすすめします。
たとえば容器を床に直接置くのではなく、食器台を活用して飲みやすい高さに調整してあげることで、足腰の負担を軽減できます。
容器は、愛犬が立っている状態で首をやや下げた位置に置いてあげるのがベストだよ。
ノズル式を使用している場合も、水を飲みやすい高さに設置できているか、今一度確認してみましょう。
また、犬は新鮮な水を用意してあげると喜ぶことも多いので、水が流れる吸水器や循環型の吸水器などに変えると飲んでくれるかもしれません。
手やスプーンで与える
それでもなかなか水を飲んでくれないときは、飼い主の手やスプーンを使って水を飲ませる方法もあります。
体を動かすことが億劫になっている犬や、筋力低下によって長い間立ってられない犬であれば、直接口に水を運んであげることで飲んでくれる可能性が高いです。
スプーンは犬用のものを使っても良いですが、100円均一でも売られている人間用のレンゲなどでも代用できますよ。
水分補給ゼリーは老犬に水を飲ませる方法として有効?
犬用の水分補給ゼリーなどが販売されていますが、老犬にも与えることは可能なのでしょうか。
結果、喉に詰まらせないように注意すれば、老犬にゼリーを与えてもOKです。
水分を多く含むゼリーは、手軽に水分を摂取できる方法として有効といえます。
ただし、人間用のゼリーをはじめ、コーヒーやブドウなどの果汁入りゼリーは与えないように注意してください。
また、糖分の多いゼリーは、与えすぎると肥満や糖尿病のリスクを高めてしまうので、あくまでもおやつとして適量を与えるようにしましょう。
愛犬のおなかを冷やさないためにも、冷たすぎるゼリーを与えないことも大切なポイントです。
寝たきりの老犬に水を飲ませる方法と注意点
寝たきりの場合は自分で水を飲むことが困難なので、飼い主によるサポートが必要です。
シリンジやポリ洗浄ボトル、ドレッシングボトルなどを活用して水を飲ませます。
横になったまま飲ませると水が気管に入り、肺炎などを起こす恐れがあるため、上半身を起こした状態で飲ませるようにしましょう。
このときも、顎を上向きにした状態で水を飲ませないように注意してね。
クッションや座布団などを下に敷いて高さを調整してあげると、犬も飼い主も負担が少ないのでおすすめです。
また、水を飲ませる際は、飲み込んだことを確認をしながら少量ずつ飲ませることと、飲ませたあとも逆流しないようにしばらくは体を起こしておくことを意識してあげると良いでしょう。
老犬に水を飲ませるときに便利な道具5選
ここまで、老犬に水を飲ませる方法について解説しました。
ここからは、老犬に水を飲ませるときに便利な道具を5つご紹介していきます。
犬用 脚付ウォーターボウル
こちらは犬用の脚付きウォーターボウルです。
容器自体に高さがあるため、首に負担をかけずに水を飲むことができます。
また、内側には目盛が付いており、わざわざ計量カップで確認しなくても簡単に水分摂取量を把握できる点が嬉しいポイントです!
電子レンジも可能なので、ドッグフードを電子レンジでふやかすときにも大活躍しそうですね。
柄もかわいいし、ハイタイプとレギュラータイプがあるよ!
高さ調節可能 スタンド付き 食器台
こちらは、高さ調整のできるスタンド付き食器台です。
4段階に高さを調整できる作りになっており、小型犬から大型犬まで、愛犬のサイズに合わせて使用できます。
また、見た目がスタイリッシュなので、お部屋の雰囲気を邪魔しないのも嬉しいポイントです。
軽くて錆びにくいステンレス製のお皿もセットになっていて、お得感がありますね!
ペット用 自動給水器
こちらは、ペット用の自動給水器です。
自動循環機能が搭載されており、いつでも新鮮なお水を飲ませることができます。
埃や髪の毛などをろ過してくれるのも大きな魅力です!
また、静音設計になっているため、運転音が気になる方や静かに眠りたい方にも適しています。
ただし、「愛犬の高さに合わなかった」という口コミが見られたので、商品のサイズを確認したうえで購入してください。
色はホワイトとグレーがあるよ!見た目がおしゃれだね!
ペットスエットゼリー
こちらは、食べて水分補給ができるペットスエットゼリーです。
ペットの体液に近いイオン組成で、水分やイオンをすみやかに吸収してくれます。
また、オリゴ糖(ラクトスクロース)やクランベリー抽出物が配合されているため、おなかや下部尿路の健康維持にも役立ちます。
「水はなかなか飲まないが、このゼリーは喜んで食べる」といった口コミが多く見られました!
与えすぎによる肥満が少し気になるので、どうしても水を飲んでくれないときだけに与えると良いでしょう。
ポリ洗浄ボトル 目盛付き
こちらは、寝たきりの老犬への水分補給に役立つポリ洗浄ボトルです。
「スポイトボトル」とも呼ばれており、植物の水やりなどにもよく使われています。
容器を片手で押すと、スポイトの先端から水が出てくる仕様です。
スポイト部分が曲がっているため、横になっている状態でも水を飲ませやすいのが大きなポイント。
容器には目盛が付いているので、おおよその水分摂取量を確認できるのも嬉しいですね!
サイズは250ml・500ml・1000mlの3種類。使いやすそうなものを選んでね!
老犬が水を飲まないときは脱水などに注意
「老犬がなかなか水を飲んでくれない…」というときは、1日にどれくらいの水分を摂取しているのか、計量カップを活用して確認してみましょう。
1日に必要な水分量を下回っている場合は、脱水・便秘・病気などのリスクが高まるため、何らかの方法で水を飲ませることが大切です。
老犬に水を飲ませる方法は本記事を参考にしながら、愛犬の状況に応じて試してみてくださいね!